今回の相談

 成績表のことですが、6年生の姉と2年生の弟で勉強のほうはそれほど差がないのですが、「行動のあらわれ」というところで大きな差があります。8項目中で姉は丸が4つなのですが弟は1つしかありません。  性格的に問題があるのかと悩んでしまいます。(アカペン さん:小学2年生男子)


【親野先生からのアドバイス

アカペンさん、拝読いたしました。

小学校でずっと成績をつけてきた経験ではっきり言えることですが、「行動のあらわれ」はもともと女の子に圧倒的に有利な項目が並んでいます。
正確に言うと、女の子というより「女の子脳」の度合いが高い子です。ですから、女の子でも「男の子脳」の度合いが高い子は不利になります(女の子でも、「男の子脳」の度合いが高い子はけっこういるそうです)。

「行動のあらわれ」の項目としてよくあるのは、たとえば次のようなものです。

・先生や友達の話をしっかり聞く
・勉強の準備や身の回りの整理整頓ができる
・係や当番の仕事、掃除などをしっかり行う
・決まりを守って行動する
・責任をもって行動する
・友達と仲良く協力できる
・みんなの物を大切にする

いかがですか?
ざっと見ただけでも、「男の子脳」の子には不利ですよね。
実際、どのクラスでも「行動のあらわれ」については女の子のほうが良い成績になります。それが普通なのです。ですから、気にしなくて大丈夫です。

そもそも、私はこれらの項目自体がかなり偏っていると思います。全体的に大人にとって都合の良いことを強調しすぎなのです。
自分のことがちゃんとできて、言われた仕事も忘れずやってくれて、決まりをしっかり守って、要するに大人を困らせない子が高く評価されるようになっています。
ですから、小学生段階においては圧倒的に女の子のほうが有利なのです(繰り返しますが、女の子でも「男の子脳」の度合いが高い子は不利です)。
でも、人が人生を生きていくうえでこういったことだけが大切なのでしょうか?
私は決してそんなことはないと思います。

たとえば、私は次のようなことも大切だと思います。

1.自分のやりたいことを自分で見つけて熱中できる(主体的に生きられる)
2.人が考えつかないことを考えつく。人と違ったことができる(オリジナリティーがある)
3.ユーモアがあってみんなを楽しませてくれる(ユーモア精神がある)

まず1についてです。
すばらしい人生をつくりあげるためには、プライベートの生活においても、また仕事においても、自分のやりたいことを自分で見つけて主体的にどんどんやっていけるということは、欠くべからざることだと思います。
でも、学校ではそういうことは求めません。学校のような集団生活の場では、1のように主体的な子よりも、言われたことをきちんとやってくれる従順な子のほうが扱いやすいといえます。