今回の相談
 
 思春期に入ったようで、何かほめてもあまりうれしそうな顔をしなくなりました。小学生のころはほ められるとうれしそうで、こちらもほめがいがあったのですが……。「もうほめてやらないぞ」と思ってしまいます。(ブレンドコーヒー さん:中学1年生女子)


【親野先生からのアドバイス
】 

ブレンドコーヒーさん、拝読いたしました。

おっしゃる通りですね。
思春期の子はほめられても無反応で、ほめがいがないと感じている人は多いと思います。でも、うれしそうな顔をしなくても、本心ではうれしいということはあると思います。ですから、親はくじけることなくほめてあげてほしいと思います。

それと、私はほめ方を工夫することも大切だと思います。
あるお母さんに聞いた話ですが、「勉強も部活もがんばってるね」と中2の子をほめても大してうれしそうな顔をしなかったそうです。
ところが、ある日「中学生って本当に忙しいね。部活も宿題も塾もあって……。大変だよね」としみじみ言ってから、「あなたは時間の管理を工夫して勉強の時間を生み出しているんだね」と言ったら、すごくうれしそうな顔をしたそうです。

この話を聞いて、私は二つのポイントがあることに気付きました。
一つめは、まず最初に「共感」があったことが大きいと思います。
子どもとしては、「自分の大変さがちゃんとわかってもらえた」ことが本当にうれしいのです。ですから、これはとても大事なポイントだと思います。
二つめは、「時間の管理を工夫して勉強の時間を生み出している」と言われたことで、「自分が努力しているところをピンポイントでちゃんとわかってもらえた」と感じてうれしかったのだと思います。親が自分のことを「ちゃんとわかってくれている」「ちゃんと見てくれている」と感じられて、これがうれしいのですね。

そう言えば、いま思い出しましたが、図工の授業である男の子を「上手だねー」とほめたとき、その子はあまりうれしそうな顔をしませんでした。
次の授業のとき、その子の描いているところをよく観察しておいて、「この手や腕の立体感や丸みがよく出ているね。肌の明るいところから暗いところまで少しずつ色を変えたからだね」とほめたらとてもうれしそうな顔をしました。
これも「ちゃんとわかってくれている」「ちゃんと見てくれている」と感じられたからだと思います。