学校でのいじめによる悲劇が後を絶たない。
教育評論家の親野智可等さんに、いじめが多発する背景や家庭でできる対策のポイントを聞いた。


■愛する気持ち


親野さんは23年間、公立小学校で教師を務めてきた。
その経験から「いじめはケース・バイ・ケースで、ひとくくりにはできないが、親の過剰な子供への高望みや期待もいじめの背景にある」と話す。


子供たちは、塾や習い事など親から言われたことを「やらされる」ばかり。
家でも行動を始終監視され、気が抜けない。
「虫とりや基地づくりなど自分の世界を持つ時間がない現代は、子供にとって過酷な時代」と親野さん。


世界と比較しても、日本の子供の自己肯定感は極端に低い。
背景には、過度の期待のほか、「ダメ」などの否定語をシャワーのように 浴びせる日本語特有の言い回しがあるという。


「頑張らなきゃダメだ」「いつもこれくらいに書かなきゃダメだ」…。
親は意図していなくても、子供は「僕(私)ってダメだな」と人格が否定されたと思ってしまう。


親野さんは「自己肯定感を持てなくなると、自分より弱い人をいじめることで相対的な優位に立とうという衝動が芽生える。
それが、いじめにつながる」と指摘。


そのうえで、「一番大事なことは、子供が親から愛されていることを実感できること。
親がダメという言葉を意識して使わないだけで、子供は自信を持つようになり、いじめの加担者にならなくなる」と話す。


では、いじめられているサインがあった場合、親はどうすればいいか。
まず、「嫌だね。つらいね」と共感して聞くことが大切だという。
「そんな弱いことでどうする」「お前にも問題があるんじゃないか」など責める言葉は禁句だ。


■思い出話を


子供がいじめを否定しても「お父さん、お母さんは絶対守るから、どんなことでも言ってほしい」と伝える。
生まれたときから今までの思い出話をすると、親の愛情が実感でき、話し出すこともあるという。


学校に相談する際はクレームという形ではなく、夫婦そろって、「相談したい」という姿勢で足を運ぶといいという。


親野さんは「新聞に報道されるケースは学校や教育委員会の対応が失敗した事例ばかりなので、学校に相談してもしようがないと 思われがち。だが、実際は問題が小さい芽のうちに学校に相談し、解決できるケースはたくさんある」と話している。

初出「産経新聞」2012年10月

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