あと2週間ほどで夏休みが終わります。9月によいスタートを切るためには、この時期の過ごし方が大切です。まず1つめとして気になるのは、宿題の進み具合でしょう。中にはほとんどやってないという子もいると思います。

それに気がついた時点で急に怒り出す親もいますが、今まで放っておいた親の方にも責任はあるのです。ですから、困っている子を見捨てないで助けてあげてください。その後で、来年こうならないための方法を考えましょう。

具体的には、まず残っている宿題を一カ所に集めることが大切です。例えば、夏休みの友、絵日記、算数のプリントなどでしょう。自由研究や読書感想文など、まだ物として並べられない宿題は紙に書き出します。

一カ所に集めると全体量がわかり、「これだけやればいいのだ」と見通しがついて、心理的な負担が軽くなります。

次に、スケジュールをつくります。カレンダーでもいいですし、学校から出された生活表やがんばり表でもいいので、次のようなことを書きこんで作業工程を見える化します。「夏休みの友を毎日○ページで8月○日まで。読書感想文は8月○日と○日に書く」。

スケジュールをつくったら実行あるのみです。予定通りにできた日には花丸をつけ、まあまあなら一つ丸、イマイチなら三角、あるいはバツです。

この実行の過程で大事なのは、親が毎日必ず見届けをすることです。見届けとは、やるべき事がやれていたらほめ、やれていなかったらやらせてほめることです。親の見届けが続けば子どもも続けることができます。

このように子どもを助けてあげてから、来年は夏休みの初めからこのようにすると約束するといいでしょう。

2つめにやって欲しいのは勉強のつまずきを修復しておくことです。特に大事なのは算数です。なぜなら、算数はピラミッドのように勉強内容を下から順番に積み上げていく教科だからです。どこかでつまずくと次の勉強がわからなくなってしまいます。

つまずきを修復するには、どこでつまずいているかを知る必要があります。1学期の算数テスト、ノート、夏休みの宿題などを注意深く見ると、つまずいているところがわかります。

ただし、そこで「うちの子は筆算が苦手だ」というように漠然と見るだけでは不十分です。「205-78のように間に0がある問題の繰り下がりができないのだ」「356÷67のような二桁で割る筆算が苦手だ。仮の商が立てられないようだ」というように、分析的に見ることが大切です。

つまずいているところを見つけたら、子どもがわかるように教えてあげてください。教え方は教科書を見ればわかります。親自身が教わったやり方と違っていることもありますので、必ず教科書を見るようにしてください。やり方を教えて一応できるようになったら、類似問題で練習させましょう。

3つめですが、教科書で9月以降に何を勉強するかを調べておきましょう。そうすれば、ちょっとした準備・予習をしておくことができます。

例えば、9月以降に社会科で工業の勉強をすることがわかれば、夏休みに自動車工場の見学をしておくことができます。歴史で明治時代を勉強するとわかれば、富岡製糸場や韮山反射炉を見学しておきます。

理科で化石の勉強があるなら化石の発掘体験です。算数で割合の勉強があるなら、親子でスーパーに行くとき電卓を持っていき、「380円の一割引っていくらかな?」と考えてみます。

国語で宮沢賢治の作品を扱うとわかれば、その作品を読んでおきます。このような準備・予習をしておくと、授業に前向きに取り組めます。

4つめは生活のリズムを整えることです。寝る、起きる、朝食、排便の4つを同じ時刻におこなうようにすると、自然にリズムが整います。リズムが整うと元気に生活でき、勉強への集中力も高まります。

5つめは子どもに自信を持たせる事です。1学期や夏休みにがんばったことをほめてあげてください。ほめられることで自信がつくと、9月以降にがんばるエネルギーがわいてきます。また、叱ることを減らしてほめることを増やすと親子関係もよくなります。

初出:聖教新聞

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