今回の相談
 
今まで通信教材の丸つけは親がやっていましたが、4年生になったのでこれからは自分で丸つけができるようにさせたいと思います。

でも、教材をやること自体がやっとなので丸つけまでやらせるのは無理かなという気もします。何か良い方法はないでしょうか? (ジグザグ23 さん:小学4年生男子)


【親野先生からのアドバイス】

ジグザグ23さん、拝読しました。

通信教材では、4年生から自分で丸つけすることをすすめているところが多いようです。高学年になったので自分で学ぶ習慣をつけさせよう、ということだと思います。

自分で解いた問題を自分で丸つけすることには利点がたくさんあります。
まず、やってすぐに答えを確認できるので、合っていればとてもうれしく感じられるということがあります。達成感を得られますし、それが次のやる気につながります。
ただ、何時間も経ってからの丸つけだと、丸がついてもそれほどうれしく感じられないことがあります。というのも、そのときは遊び、テレビやゲームなどもっと別のことに関心が移っているからです。

次に、間違えていたとき間違えた理由がわかりやすいという利点もあります。また、正しい答えややり方を覚えてしっかり定着させるのにも効果的です。というのも、問題を解いたときの記憶が頭に残っているからです。
しかし、何時間も経ってからの丸つけだと、もう問題を解いたときの記憶があいまいになっています。ですから、もう一度最初から問題を読んだり解いたりしないと間違えた理由がよくわからないことが多いのです。
そして、その作業をしないと記憶も意味のある記憶にならないので、ただ機械的に記憶することになります。

このように、自分で丸つけをする習慣をつけることは学力向上に大いに役立ちます。でも、丸つけは子どもにとってかなり面倒な作業でもあります。遊びたい盛りの子どもで通信教材の問題をこなすだけでも大変という場合、丸つけはかなりハードルが高いと言えます。
下手に無理強いすれば、教材そのものもやらなくなるかもしれません。そして、叱る材料が増えるだけという結果になりかねません。

そこで大事になるのは、その子の実情に応じて進めるということです。
何事もそうですが、「もう○年生だからできて当然」という発想で臨むとうまくいかないことが多いのです。子どもの成長スピードは百人百様だからです。
無難なのは少しずつハードルを上げる方法です。いきなり全部丸つけさせるということでなくて、まずは丸つけをしやすいところだけやらせてみるのです。そして、それができたらほめて、さらにやる気を高めてあげます。

たとえば、選択肢のある問題だけ自分で丸つけさせてみます。丸つけをしやすいところとしては、ほかにも漢字の読みや計算問題などがあります。そして、記述の問題や漢字を書く問題など、丸つけをしにくいところは親が見るようにします。
そして、丸つけができたら大いにほめます。自分で丸つけができたこと、間違いに気付いてバツをつけられたこと、こういうことを当たり前と思わないでしっかりほめることが大切です。正解と自分の答えの違いに気付くことは立派なことであり、正直にバツをつけることもさらに立派なことです。そういうことを、口に出してきちんと伝えてください。

親が「丸つけの点数」をつけてあげるという方法もあります。丸つけが全部正しくできたら、そのページに「丸つけ100点」と書いてあげるのです。
そして、丸つけを1つ間違えていたら99点です。
子どもはこれをけっこう喜びます。問題を解くうえで100点が取れない子でも、丸つけなら100点が取れるからです。

丸つけの筆記用具の選び方も大切です。ポイントは、色が鮮やかできれいなことと、太い線が描ける物を選ぶことです。つまり、少しでも華やかな丸が描けるようにしてあげるわけです。
かわいい花丸の描き方を教えてあげるのもよいでしょう。花丸の中に目を描けばにっこり花丸になります。花丸に目・鼻・耳などをつければ動物やキャラクターの花丸になります。こういうことは、特に女の子に効果的です。

また、丸つけの練習をさせてほめるという方法もあります。まず、教材をコピーして親がその問題を解きます。そして、子どもが正解の答えを見ながら丸つけをします。つまり、親子の立場を逆転させるわけです。
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つづく

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