今回の相談
 
親野先生の講演を聞いてから否定的な言い方の弊害に気付き、母親として子どもへの言葉に気を付けながら一人の人間として尊重して接しています。

でも、父親である夫は少し短気で言葉がきつくて否定的な言い方ばかりです。ときには、ちょっとしたことで子どもを叱りつけることがあります。夫にも変わってもらいたいのですが、どうすればよいでしょうか? (ケイトケイ さん:小学1年生男子)


【親野先生からのアドバイス】

ケイトケイさん、拝読いたしました。

同じような質問が私の講演のあとの質疑応答でもよく出ます。つい先日の講演でも、「妻が子どもを叱りすぎるのを何とかしたい」という男性に質問されました。その人が見かねて奥さんに何か言うと、いつも逆効果になり子どもと一緒に叱られるはめになるそうです。
人を変えるのは難しいですよね。特に、連れ合いという存在を変えるのは至難の業です。
それでもいくつか方法はあります。

一度じっくり話し合いの時間を取るのもよいかもしれません。できたら旦那さんの機嫌が良いときにしましょう。子どもを叱りつけた直後は避けたほうが無難です。
そして、あなたが思っていることを誠実に話してあげてください。静かに穏やかに心を込めて話してあげてください。
その際、旦那さんを非難する言い方は避けます。自分が非難されていると感じると、相手は心を閉ざしますから。
「あなたはいつも叱りすぎ」というように相手の非を指摘する言い方でなく、否定的な言い方で叱ることの弊害を一般的な話として話すとよいでしょう。

とは言っても、これがなかなか難しいのですが……。
でも、難しくても極力その方向で進めてください。

その後は相手の反応によりけりですが、深追いは禁物です。無理に「わからせよう」とするとけんかになるだけですし、夫婦仲にも影響が出ます。
そういう場合は他の作戦に切り替えます。
「これは」と思う本を読んでもらったり、一緒に教育講演会に行ったりするのもよいでしょう。
夫婦の場合は、相手に言われると反発して素直に聞けないことも多いものです。本や講演会などならそういうこともありません。

もしかしたら、旦那さんは仕事やその他のことで大きなストレスがたまっているかもしれません。その場合、ストレスを上手に解消できるよう協力してあげるといいでしょう。
旦那さんの話を共感的に聞いてあげることも極めて大切です。共感的に聞いてもらえるだけでもかなり癒し効果があります。旦那さんが安らかで明るい気持ちになれるようにしてあげてください。
とにかく、ストレスが子どもに向けられるのは避けたいですね。

子どもからお父さん宛にかわいいお手紙を書くというのもよいですね。
「いつもお仕事ありがとう」「この前○○に行って楽しかったね」など、お父さんの心が温かくなる内容がよいでしょう。
写真も活用してください。
子どもが生まれたときの写真、旦那さんが子どもを抱いている写真、子どもが仲よく写っている写真などです。