今週の相談
 
いつも先生の寛大な心に感銘を受けております。今回は我が家の小4男の子の件で相談させてください。

3年の終わりころから中学受験を目標に塾に通っています。志望校も既に決まっており、学校見学をしてさらに行く気になってはいるのですが、勉強をしていても、わからないとそのままで、平気な顔で手を付けません。毎週出される問題の答え合わせは母がしていますが、「バツの所をやり直せ!」と言ってもそのまま。塾の先生も主人も私も「できなかったら次にできるように練習したら良いよ」とアドバイスしても「うん、うん」と口だけで、実際はなかなか行動に移せません。昨日も、問題の考え方を教えてあげてもあまのじゃくで言われた事をやりません。

素直に人の話を聞けないのは育て方が曲がっていたのでしょうか? もう、すっかり親もやる気がなくなってきてしまいました。中学受験しなくても高校受験はあるし絶対逃げられないのに、「めんどうくさい」と、何でも簡単に処置している我が子に対してどうしたら良いかわからなくなってしまいました。先生教えてください。(泣きたいっ子 さん)


【親野先生のアドバイス】

泣きたいっ子さん、拝読いたしました。

中学受験の異常なブームのなかで、「泣きたいっ子」さんと同じような状況になっている親子がかなりたくさんいると考えられます。
中には、もっとつらい状況になっている親子もたくさんいるようです。
もっとひどく叱りつけて暴言を浴びせたり、子どもを叩いたりというケースです。

雑誌・新聞・テレビなどのマスメディアが取り上げないので、表面に出てこないだけです。
これらのマスメディアが取り上げるのは、中学受験に起因する大きな事件が起きてしまった時だけです。それぞれの家庭という密室の中で問題が密かに進んでいる段階では、取り上げられることはないのです。
でも、水面下で事態は深刻化しているのです。

親がいくら言っても子どもが勉強しない、子どものやる気が出てこない、なかなか偏差値が上がらない、ライバルは伸びているのに我が子は成績が下がっている、志望校は無理だと言われてしまった……。

こういう状況のなかで、感情的に叱りつけたり暴言をぶつけたりしてしまう親がたくさんいるのです。
頭に来て子どもを家の外に追い出し、しばらく家に入れなかったという親もいます。
「勉強しないなら、こんなのいらないね」と言って、机の上の勉強道具をゴミ箱に捨ててしまった親もいます。
成績が上がらないからといって、子どもが楽しみにしていた夏休みの旅行を取りやめにしてしまった親もいます。
親に「この中学校に入れなければ、うちの子じゃない」と言われて、うつ状態になってしまった子どももいます。
中には、子どもの態度に切れて叩いてしまったという親もたくさんいるのです。

「受験までがんばって勉強するって約束したでしょ! やる、やるって、口ばっかりじゃダメでしょ」
「これから塾のテキストを毎日2時間勉強するって、あなた自分で言ったよね。やるって言ったことはやりなさいよ。毎日サボってばっかりじゃないの」
「間違えたところをやり直すことで実力がつくんだって、塾の先生も言ったでしょ。あんたは間違えっぱなしだから、○○君に負けっぱなしなんだよ!」
「○○中学校に絶対行くって、説明会の時にあなた言ったでしょ! 言うだけで努力しなきゃ行けるわけないでしょ」
「あなたのために言ってるのよ。将来のことを考えたら、今がんばらないでどうするの!」

みなさんの中に、このような言葉をぶつけてしまっているかたはいませんか?
少しでも心当たりのある方々は、これからは本当に気を付けてください。