多くの新1年生がこの時期は「勉強は楽しい」と思っているそうです。
はたしてそれがいつまで続くのでしょうか?
「勉強は楽しい」を「つまらない」にしないためには、どうすればいいのでしょう?
「勉強楽しい」→「勉強つまらない」に変わってしまうのは、なぜなのでしょう?
●親野
勉強がつまらなくなっていくのは、『勉強』と『怒られる』が関連付けられるせいです。
家庭学習のコツ①でもお話しいたしましたが、『ここ間違ってるじゃない』『前も教えたでしょ』などと言われながら勉強していると、子どもの中に『勉強すると叱られる』→『勉強ってつまらない』という刷り込みができてしまいます。
大人の対応がまずいから『勉強って楽しくない』になってしまうのです。
これは、いちばん避けるべきこと。
子どもが勉強って楽しいと思う気持ちを大事にしてあげたいものです。
●小1ママ
なるほどです。
心当たりがあります。
●親野
私は『楽勉』と言っていますが、いわゆる勉強だけではなく、ひらがなカルタや算数パズル、興味のあることを図鑑で調べたり読書をしたり、これらが当てはまります。
勉強は楽しくやらないと。
『なんで勉強するの?』と疑問に思うということは、『ぼく勉強苦手だな』『勉強って楽しくないね』という気持ちの表れです。
勉強が好きじゃないというのなら、得意なものを1教科でも作ってあげることです。
その子の得意なものをもっと得意にしてあげることをお勧めします。
●小1ママ
不得意なものを放っておくのは、なかなか勇気がいりそうですが…。
●親野
ほかは全部勉強ができるけれどもこれだけは苦手、というのなら苦手を克服すれば良いと思いますが…。
現在、活躍している学者でもスポーツ選手でも、どんな分野であっても、そういう人たちはもともと好きで得意なものを伸ばしてきたはずです。
もともと苦手なものを伸ばしてスペシャリストになった人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
さかなクンが最も良い例です。
彼が魚を好きになったときから、お母さんが一生懸命応援してくれました。
水族館に行ったり、図鑑を見たり、釣り堀に行ったり…。
さかなクンは、魚を極めることで学ぶ術を身につけました。
そして、大好きな魚を見に行くと海や川が汚れている、それで心を痛めて、環境にも興味を持って環境の研究も始めました。
このように自分が興味を持ったことを芋づる式に学んでいきました。
昔は算数が苦手だったようですが、今はできます。
小さいときは算数が苦手だったとしても、今は大学准教授です。
子どものときに苦手が直らなくても、どうってことないんです。
イチローだってノーベル賞をとった学者だって、多くのスペシャリストは、苦手なものは放っておいて得意を伸ばしてきたのです。
これからは、どんな分野でもいいから『これ』という突出したものが必要です。
ジェネラリストではなくスペシャリストです。
たとえば公務員でも、『私は経理が得意です。ものすごいです』など、そういうことが言える人が活躍していけるのです。
突き抜けたものがないと埋没してしまいます。
そういう生き方はどこで身につけるのかというと、子どものときからです。
子どものときから、『歴史が好きです』というのなら歴史のことを応援して、ぐんぐん伸ばしてあげてください。
途中で飽きてしまうこともありますが、それでもいいんです。
歴史に飽きてしまえば、新たに興味を持ったことをやればいいのです。
やったことは絶対に無駄になりません。
脳科学で言われていることですが、何かに熱中しているときに脳が鍛えられます。
そもそも『頭がいい』というのはどういうことかというと、それはシナプスの数が多いということなのです。
脳神経細胞ニューロンの数は変わりませんが、それを結びつける接合部分のシナプスが増えるのです。
そして、そのシナプスはどういうとき増えるかというと、本人が喜びを感じながら頭を使っているときなんです。
なんでもいいんです。
魚なら魚、歴史なら歴史。アンパンマンでも構いません。
それらの好きなものについて、喜んで頭を使っていると脳の性能がどんどん良くなっていくんです。
シナプスが増えて脳の性能が良くなっていれば、そこに勉強を入れたときもどんどん入る。
そして、たとえそれに飽きて別のことをやったとしても、すでに脳の性能が良くなっているからどんどん入ってきます。
能力に自信もあるし、学び方を知っているからどんどん伸びます。
『もうそれはいいから、これをやりなさい』といって好きなことをやめさせると、脳の性能を上げることはできません。
子どものころから得意を伸ばす方向で進めましょう。
そういう生き方を子どものうちからさせるべきです
●小1ママ
親野先生ありがとうございました。
●親野
ありがとうございました。
参考になれば幸いです。
●小1ママ
お子さんは何が好きでしょうか?
「そういえば、猫が好きみたい」
「あのアニメ夢中で見ているのよね」
必ず何か好きなものがあるはずです。
それをもう一歩深めるための「楽勉」を始めてみてはいかがですか?
次回は、苦手は放っておくと言っても、算数ができないのをそのままにしておくのはいかがなものか?というお話です。
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