「宿題もせず遊んでばかり」「途中で宿題を放りだして遊んでしまう」など、お子さまの宿題に関して、こんなお悩みを抱えるご家庭は多いのではないでしょうか。

でも、ちょっとした工夫で、お子さまが主体的に宿題に向かうようになることも珍しくありません。教育評論家の親野智可等先生に、お子さまの宿題と保護者の関わりについて伺いました。


●保護者の言葉が子どもの意欲を引き出す


宿題の役割は大きく二つ挙げられます。一つは自分で学習する習慣を身に付けること。二つ目として、限られた授業時間で扱えない部分を家庭学習で補うという側面もあります。

後者には、授業内容の反復による基礎学力の定着のほか、授業で発表や話し合い活動をする前提としての調べ学習も含まれます。

保護者がお子さまの宿題に関わる時、最も気を付けなくてはならないのは、「宿題はつまらないもの」という思いを抱かせないことです。学習への意欲を高めるチャンスととらえて、宿題を積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

子どもは誰しも勉強ができるようになりたいと思っています。しかし、保護者の声かけの仕方によって、そうした潜在的な意欲が摘み取られてしまう場合もあります。

「早く宿題をしないとダメでしょ」「どうしてこんな問題もできないの」。こうした否定的な言葉ばかり投げかけていると、子どもは宿題どころか学習そのものが嫌になってしまいます。

心理学に「つり橋効果」という理論があります。男女がデートをする時、つり橋を一緒に渡ると恋愛が成就する確率が高まるのだそうです。一緒に渡ると怖いから心臓がドキドキする。人間の脳はそのドキドキを「この人のことが好きなのかな」と勘違いしてしまうのです。

お子さまにとっての学習も同じです。宿題に取り組んだ時に、お子さまをたくさんほめてください。子どもはほめられればうれしいものです。

本当は、ほめてくれたその言葉がうれしくて楽しく感じるのであり、勉強の中身についての楽しさではないのです。でも、勉強に関してほめられたので、「勉強って楽しい」と思えるようになるのです。

逆に、「遊んでばかりいないで勉強しなさい」と言われると、その言葉自体を不愉快に感じ、そう言われ続けることで勉強そのものが不快に感じられるようになってしまうのです。

保護者に第一に心がけてほしいのは「言葉の工夫」です。プラスのイメージの言葉を投げかけることで、学習に対する偏見を取り除くのです。

「いま宿題をやっておけば、あとでたっぷり遊べるよ」「授業で手が挙げられるよ」というふうに、「宿題をするとこんなによいことがある」というメッセージを発信し続けるのです。

とりあえずどのようなささいとでもよいので、まず「ほめる」というのも有効な手段です。宿題を見る時に「もっときれいに書きなさい」「これとこれが間違っている」というふうに、ミスばかり指摘していたのでは、子どもは不愉快になるだけです。まずはよいところ、できているところを探してほめましょう。

ただ漠然と見ているだけではよいところは見つかりません。漢字の書き取りなら、まずは上手に書けている字を探して、「これとこれはうまく書けているね」とほめます。たくさんほめてから、「じゃあ、こっちをちょっと直してみようか」と汚い字を直させる。

そういう順番が大事なのです。算数のドリルなら、まず正解を見つけてハナマルをつけ、「式もきちんと書けたね」などと言ってほめる。そのうえで「じゃあこれとこれを直そうか」と言うと子どもは進んでやり直すでしょう。

つづく
http://benesse.jp/kyouiku/201506/20150612-2.html

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