今週の相談
 
成績も良く授業にも積極的で先生の信頼も厚い小学4年生の長女。正義感が強く、授業中に騒いだり悪いことをしたりする子に注意をします。そのため3年生の時は男子の集中砲火を浴びて泣かされたことも何度か。「他人のことを注意するのやめなさい」と口を酸っぱくして言っていますが、本人は「やってない」と言いながら、懲りもせず注意している様子です。

優しくて面倒見が良いのですが、裏目に出ているよう。最近は一部の女子に物も隠されました。謝ってくれたようですが、もうすぐ5年生だし、今後心配です。どのように言い聞かせていけばよいでしょうか?(とんとんまま さん)


【親野先生のアドバイス】

とんとんままさん、拝読いたしました。

どんな集団にもルールやマナーがあります。
そして、それをどの程度守るかということについては、建て前と本音の部分があります。

たとえば、小学校で「掃除中はしゃべらないこと」と先生に言われたとします。
ほとんどの子は、それを適度に守ります。
つまり、休み時間ほどのおしゃべりはしませんが、それでも少しくらいはおしゃべりするわけです。
そういう子に、「掃除中おしゃべりしていいの?」と聞けば「だめ」と答えます。
つまり、建て前で答えるわけです。

でも、しばらくすれば、また同じ程度にはおしゃべりするのです。
つまり、「掃除中も、ちょっとくらいならおしゃべりしていい」と感じているわけで、これが本音です。
そして、人間はこれくらいでちょうどいいのです。

このように、適度にルールやマナーを守る人は集団の中でうまくやっていけます。

この程度が普通より低かったり高かったりすると、うまくいかくなります。

ご相談のお子さんは後者に当てはまるのですが、こういう子はけっこういます。
私も何人か知っています。
私の経験による実感では、まじめで気が張っていて勉強のできる女子に多いような気がします。
もちろん一概には言えませんし、これに当てはまらない場合もあります。

さて、ご相談のケースですが、私は基本的にはそれほど心配しなくて大丈夫だと思います。
というのも、異常に正義感が強すぎて病的にこだわるというほどではないようだからです。
人よりほんの少し正義感が強いという、よくあるケースのように思えます。
それに、「優しくて面倒見が良い」ということですから、これも安心材料です。

それに、人は誰でも、いろいろな経験をしていくなかでだんだんわかっていくということがあるからです。
みんな、いろいろな友達といろいろな人間関係を経験するなかで、少しずつわかっていくのです。

自分の「正しい」が、すぐ誰にでも通用するわけではない。
自分が正しいと思っても、言わないほうがいいこともある。
注意するだけが解決方法ではない。
自分のあの言い方では、相手も頭に来るかもしれない。
思ったままに注意するのではなく、言い方に気を付けることが大切だ。

こういうことが、だんだんわかってくるのです。
そして、これは、実際に経験を積み重ねていくなかでわかることが多いのです。
人に言われただけではわからないことも多いのです。

もちろん、親としては心配だと思います。
たっぷり言い聞かせて、二度と同じ目に遭わないようにしてやりたいと思うのが親心です。
でも、言い聞かせるだけですべてわからせようとしても難しいのです。
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つづく

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