今週の相談
中学1年の息子は、成績は上位のほうですが勉強は宿題しかやりません。宿題もやる気がなく、いつも寝る直前にいやいややります。今はテニスしか楽しみがないようで、帰って来るとゲームで気を晴らしています。また、お菓子ばかり好きで、なおかつ、食べたものを片付けません。やる気が付いていかず、偏食ばかりしていて、身の回りのものを片付けないのです。
子どもをほったらかしにしたわけではないのですが、がみがみ言う親を煙たがってばかりいます。今後、やる気を出させ、自分のことは自分でやるようにさせるにはどうしたらよいでしょうか?(こうたん さん)
子どもをほったらかしにしたわけではないのですが、がみがみ言う親を煙たがってばかりいます。今後、やる気を出させ、自分のことは自分でやるようにさせるにはどうしたらよいでしょうか?(こうたん さん)
【親野先生のアドバイス】
こうたんさん、拝読いたしました。
前回に引き続き、こうたんさんへのアドバイスです。
前編で「親のやる気を押し付けない」「子どものやる気の芽を見つけ支援する」「その時々で子どもにとって必要なことを考えてやる」という三つをお話しました。
これらに、次の二つを付け加えたいと思います。
キーワードは「ものの言い方」と「受容と共感」です。
まず、ものの言い方についてです。
日々の生活の中で、ものの言い方に気を付けてください。
親のものの言い方はとても大切です。というより、決定的に大切です。
マイナスイメージの言い方でなく、プラスイメージの言い方に翻訳して言ってください。
叱る言い方でなく、ほめる言い方に翻訳して言ってください。
「○○しなくちゃダメでしょ」「また、○○してない」などの言い方はやめましょう。
「○○すると気持ちいいよ」「○○するとうまくいくよ」などの言い方にしてください。
「○○できてるね」「○○ができるようになってきたね」「○○がうまい」「○○をがんばってるね」など、あたかももうそれができているかのようにほめると効果的です。
たとえば、片付けができない子がほんの少しでも出したものを棚に戻したら、「片付けうまくなったね」と言ってやればいいのです。
「できるようになったらほめよう」などと思っていると、永久にほめることはできません。
ほんの少しでも、またはまったく変わっていなくても、「うまくなったね」とほめてやればいいのです。
アイ・メッセージで伝えるのもいいでしょう。
アイ・メッセージなら、相手を非難しないで伝えたいことを伝えることができます。
時には、「○○しなさい」「○○しよう」などの単純命令形で言うのもいいでしょう。
「あなたは、いつもどうのこうの……」と余分なことを入れないで、単純に言えばいいのです。
相手にとって嫌なことを伝える時には、特に言い方に気を付けてください。
いきなり頭から叱るように言うのはやめましょう。
いくつかほめてから、それを言うようにするのといいでしょう。
先ほどのアイ・メッセージも効果的です。
相手の人格を否定する言い方は決してしないようにしてください。
「何度言ったらわかるの! ダメな子だね」
「○○もできないなんて、情けない」
「片付けができないのは、だらしがないからだ」
「嫌なことを後回しにするのは、ずるい子だ」
こういう言い方は、深く心を傷つけます。
そして、長く心に残ります。
親子だからどんなものの言い方でもいい、と思っていたら大間違いです。
親子と言っても人間関係の一つであることにかわりはないのです。