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今週の相談
 
先生は、「プラス思考で……」とよくおっしゃいますが、どうしたらそのようになれるのですか? 中学2年生のうちの娘は、勉強もできないし、運動も苦手だし、だらしないし、私は、毎日怒ってばかりです。

先生の回答を見ると「おっしゃるとおりだ!」といつも思います。怒っては良くないと思います。でも実際は、なかなかできません。子どもにも「なんでそんなに怒るんだ」と言われ、その言葉にまたきれてしまいます。性格だと思ってあきらめているこのごろです。(短気母 さん)


【親野先生のアドバイス】

短気母さん、拝読いたしました。

前回に引き続き、短気母さんへのアドバイスです。

私は、日常的に叱ったり怒ったりしたことの結果を、身をもって味わいました。
でも子育て真っ最中のみなさんは、まだ味わっていません。
それがまだ表に出て露(あら)わになっていないからです。
子どもが小さい時は、表だってはっきり目に見える形で出てこないことが多いのです。 


でも、それが露わになる瞬間というのは必ずやってきます。
いつやってくるかはわかりませんが、そういう瞬間は人生の中で必ずやってくるのです。 

明日かもしれませんし、数年後かもしれません。
思春期になって露わになることも多いですし、人生の節目で露わになることも多いのです。
何かの出来事や思いがけないことがきっかけで、露わになることもあります。

その時になって、私と同じようなつらい思いをしないでほしいと思います。
その時になってわかっても、遅いのです。
私は、先ほど「自分が本当に変われたのはそのことで大いに苦しんだ時でした」と書きました。
でも、みなさんの親子関係が壊れた時にわかるのでは、あまりにもつらすぎます。

ですから、私の経験をぜひ、参考にしてほしいと思います。
私の経験を、ぜひ他山の石にしてほしいと思います。
そのために、想像力を働かせてください。
経験の代わりになり得るのは、想像力だけです。

二つのやり方で想像力を使ってください。
まず、一つ目として、自分が実際につらい経験をする前に、その事態を想像してみてください。

親子の間に心の絆がない状態、信頼関係がない状態、子どもが話しかけてこない状態、何を言っても聞いてくれない状態、子どもが親を避ける状態……。
こういう状態をはっきり想像してみてください。
それがどんなにつらい状態か、はっきり思い浮かべてみてください。

想像力があるのは人間だけです。
人間だけが、事前に事態を予測してそのための対策が立てられるのです。
それが想像力の偉大な働きです。
実際につらい経験をする前に、想像力を使ってください。