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今週の相談
小学2年生の息子が授業中、席についていられないので、おかしいと思い検査をしたところ、自閉症の状態とADHD(注意欠陥多動性障害)の状態が両方見られると言われました。ですが、治療法があるわけではないし、とにかく親子げんかになった時などの対処法だけを月に1度の診察で言われるばかりです。学校での加配や特別支援学級へのクラス替えなどは一切ありません。というよりも、そこまでの支援が必要だとは思えないぐらいの程度なのです。
ですが、宿題をしなくて毎日が嵐です。好きなことなら何でもできる息子が、こと宿題となると無気力になってしまいます。また、たとえば今は眠たいから宿題をできない……と言われ、じゃあ朝起きてからね、と約束しても毎回「そんなこと言ってない」と逆切れして約束を破るので、そんな態度を取る息子が許せません。最近では、この子さえいなければ……とふと思っていたり、優しくしないといけないのに、そこらじゅうのものをひっくり返して鬼のようになって、暴言で叱責する自分がいます。もう、心が壊れそうです。どうしたらいいでしょうか? アドバイスをお願いします。(ぼのぼのさん)
【親野先生のアドバイス】
ぼのぼのさん、拝読いたしました。
かなり大変な状況のようで、読みながら心配になってきました。
ぼのぼのさんの苦しい状況が、ひしひしと伝わってきます。
何はともあれ、まずは、今の状況を何とかする必要があります。
文面から察するところ、お子さんが宿題をやらないことが、ぼのぼのさんにとって非常に大きなストレスになっているようです。
もちろん、ここに書き切れないことが他にもいろいろあるのかもしれませんが、宿題のことでかなり苦しめられているのは確かなようです。
でも、これはADHD(注意欠陥多動性障害)の子の特質の一つなのです。
ADHDの子の特質の一つとして、宿題や課題をやりたがらないということは実際あるようです。
それを、まず理解しておく必要があると思います。
宿題をやらない我が子を見ていて、親のほうがなかなか割り切れないのはわかります。
イライラするのもわかりますし、何とかやらせたいという気持ちもわかります。
でも、一番苦しんでいるのは当の本人なのです。
親も苦しいのですが、子どもはもっと苦しいのです。
傍(はた)から見ると子どもは、苦しんでいるように見えないかもしれません。
好きなことだけやって、やりたくないことはさぼっているので、安穏としているように見えるかもしれません。
でも、そうではありません。
本人はとても苦しんでいるのです。
宿題をやらないと言って毎日叱られて、それでも自分で自分をどうしようもないのです。
もし、自分に置き換えて考えてみても、こんなに苦しいことがあるでしょうか?
「自分で自分をどうしようもない」という状態ほど苦しいことはないのです。
「そんなに苦しいのなら、さっさと宿題をやればいいのに」と思うかもしれませんが、それができないのです。
それが、自分で自分をどうしようもないということなのです。
ですから、本人自身が一番苦しんでいるということを、わかってやってください。
私は、何はともあれ、まずは、今の状況を何とかする必要があると思います。
その一つとして、先生に今の状況を理解してもらって宿題をなしにしてもらえるようお願いするという選択肢があっていいと思います。
宿題のために、これほど親も子も苦しんでいるのですから。
そもそも、宿題というものは、そうまでしてやらなければならないほどのものではないと思います。
親子でこれほど苦しんでまでも絶対にしなければならないほどのものではないと思います。
宿題を出さない先生もいますし、宿題がまったくない国もあるのです。
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