今週の相談
 
4月から小学生になる男の子がいます。共働きで、一人っ子の子どもに寂しい思いをさせています。朝7時30分に保育園に行き、お迎えは夜7時15分で、最後の一人のことが多く、早お迎えが子どもの喜びになっています。これを保育園6年間、子どもはやり遂げてくれました。子どもが寂しい思いをしていることは、様子でよくわかります。

小学校になると学童保育で夕方6時まで過ごすことになりますが、私が帰宅できるのは、7時15分ぎりぎりの状態です。学童保育から親の帰宅までの過ごし方ですが、よいアイディアはないでしょうか?(あかあかさん)
 


【親野先生のアドバイス】

あかあかさん、拝読いたしました。

両親が共働きで、子どもと接する時間が少なすぎるという悩みですね。
今、このような悩みをもっている親たちが本当に増えています。
ちょうど子育て真っ最中の世代が、同時に社会や企業にとっても一番の働き手だという事情があります。
おまけに、グローバルな大競争時代とか勝ち組負け組などと、やたらに煽り立てる風潮があります。
また、この世代は、その分生活費や教育費などでもお金がかかるという事情もあります。

これからの社会を担う子どもを育てている世代に、もう少しいろいろな支援があってしかるべきです。
金銭的にも時間的にも、支援が必要です。
行政からも地域社会からも民間からも企業からも、支援が必要です。
それなのに、一向にそれが目に見える形で進みません。

その結果、子育て真っ最中の世代が一番大変で、そのしわ寄せが確実に子どもに来ています。
今の子どもたちが抱えているストレスの多くは、このような経緯によるものです。
そして、そのストレスがいろいろなところで問題を引き起こしています。
家で出る子もいますし、保育園・幼稚園・学校などで出る子もいます。
今、それを家で出せなくて学校で出す子が多くなっています。
いじめ、物隠し、不安定、被害妄想、無気力などなど、いろいろな形で出てきます。
保育園・幼稚園・学校もまた、このような社会のしわ寄せを引き受けているのです。 

そして、ここも、また、人員増加などの支援を受けられずにいます。
20年前とは事情が大きく変わっているのに、同じ態勢でやれと言われているのです。 

今は家でも、保育園・幼稚園・学校でも出さないでいるけれど、その分確実にストレスや不満を溜め込んでいる子もいます。
そういう子は、あとで、もっと大きくなってから出る場合もあります。
あるときまでずっと良い子のまま大きくなって、あるとき突然溜め込んできたものが爆発するということもあるのです。
子どもが寂しい思いをしているしわ寄せは、必ずどこかに出るのです。

私は、このご相談のかたの詳しい事情がわかりませんので、今から書くことは的外れかもしれませんし、無理なことなのかもしれません。
ですから、同じような「悩みを抱えている方々への私の一般的な回答」ということでお読みいただければと思います。

まず、私は、親たちはもっと自分たちが何のために働いているのかを考えてみることも必要だと思います。
それは、つまり、何をこそ大事にするべきなのかと考えることでもあります。
子どもが親との触れ合いを一番必要としているとき、それを脇に置いてまでするべきほどの仕事なのか、と考えてみることは必要だと思います。

子どもが本当に子どもらしい子どもでいる時間というのは、驚くほど短いものです。
それは、あとになってからでは取り返すことのできない時間なのです。
ですから、まず、仕事を見直すという視点も必要だと思います。
それは、人生や生き方を見直すことでもあります。

それをまずしたうえで、それでもどうしても今の状態を変えられないということでしたら、次のようなことをしてみてください。