●問題行動が増える春休みこそ親の接し方が大事


春休みは特殊な時期です。それまではクラスの担任や仲間がいて、○年○組という帰属意識がありましたが、これが消滅して、いわば凧の糸が切れたような状態になります。

その結果、解放感が生まれ、同時に規範意識も薄れ、万引きなどの問題行動が起きやすくなります。


だからこそ親の接し方が大事です。学年が終わったこの時期に1年間をプラス思考でふり返り、がんばったこと、できるようになったことを具体的にほめてあげることです。

さらにその上で、次の学年への夢ややる気を膨らませるよう工夫をすることで、春休みを大きな飛躍の土台とすることができます。


●通知表を見ながら具体的にほめる


1年間をプラス思考で振り返るためには、終業式の日が大事です。持ち帰った通知表や図工作品や賞状や学習ノートなどを材料にほめること。他の子と比べる必要はありません。

ポイントは、具体的に、そして部分を見つけてほめるのです。全体を見るとほめにくい場合でも、部分、例えば絵であれば、「躍動感のある絵だね」とほめることができます。これが、本人に達成感を持たせることになるのです。

また通知表は叱る材料にしないこと。現在の通知表は通信欄に代表されるようにほめる要素が盛り込んであるので、そこをほめる。ガミガミ言っても始まりません。それは単に親のストレス発散にすぎません。


●「がんばり表」で目標を持たせる


ほめた後は、「もうすぐ4年生だね。どんな4年生になりたい?」などと、次の年度の「夢」を「おしゃべりしながら」語り合いましょう。勉強でもスポーツでも何でも構いません。夢が出てこないときは「漢字博士を目指してみようか」などと、提案しても良いでしょう。

目当て(目標・夢)が出てきたら、それを実現するために春休みに何をするのか、「ルール」を決めます。「漢字博士になる」という目当てであれば、「毎日5個の漢字を覚える」というルールを掲げるのです。

これを「がんばり表」として、目立つ場所(冷蔵庫やリビング)に貼り出して、できたら○を書き込みましょう。


●子どもの持続力=親の励まし力

「がんばり表」を作っても数日経つと飽きてしまうことがあります。そこで大事なことは親がほめ続けること。やっていればほめ、やっていなければやらせてほめます。

そのために非常に有効なのが「見届け表」。これは「がんばり表」の親版で、子どもが決めた「ルール」を親が見届けるためのもの。親が見届ければ○とします。

多くの親は最初の数日間だけ見届けて後は忘れてしまいます。これでは子どものがんばりは続きません。親が毎日の見届けを続けることができれば、子どももがんばり続けることができます。


●前学年の「つまづき」を修復するチャンス


春休みにやっておきたい勉強は、前学年のつまづきを修復することです。点数が良いか悪いかだけ見ても意味がありません。特に算数は積み重ねの学習なので、放置しておくと次学年にも影響します。

その時に大事なことは、親がつまづきをピンポイントで見抜くことです。「引き算が苦手だな」などと漠然と見るのではなく、「繰り下がりが分かっていないな」とピンポイントで見抜く必要があります。

そのためにはノートやテストをよく見ましょう。間違いを分析的に見て、子どものつまずきを探ります。つまずきが分かったら、教科書などを使って重点的に学習し、類似問題で克服させることです。


●幅広い意味での次学年の予習をする


また春休みは、幅広い意味での次の学年の予習も大事です。

理科で天文を勉強するならプラネタリウムを見に行く、算数で分数をやるなら分数の絵本を用意しておく、社会で水産業や工業を勉強するなら漁港や工場を見学に行くなど、生活や遊びの中で「楽しみながら」ちょっと予習をしておくのです。

すると授業が始まった時に「僕、これわかりそう」と思えます。この「わかりそう」が大事です。わかることが出てくると授業に関心と自信をもって臨めます。

初めて接する状態だと「難しそう」と思ってしまう。子どもはちょっと知っていることを習うのが一番うれしいのです。

初出「灯台」第三文明社

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