お正月には祖父母からお年玉をもらったりと、お金と接する機会が増えてきた小学1年生の娘。そろそろ簡単なお金との付き合い方を教えたほうがいいのではと思うけど、どのように伝えたらいいかわからない。そこで教育界ナンバー1のメルマガ「親力で決まる子供の将来」の発行人の親野智可等さんに子どもの金銭教育について伺ってみた。


●子どもの金銭教育はいつから始めたらいいのだろう?


わが子はまだ小学1年生だが、どんな方針でお小遣いをあげるか決めかねているうちに、お金との接点は増える一方。親戚に会えば千円札を渡されるし、お正月には祖父母からかわいいポチ袋に入ったお年玉が……。今のところ親の「権限」で高額のお金は預かっているものの、子どもには早くからお金との付き合い方をきちんと教えたいという思いもある。これはもう、今から教え始めるべきじゃないだろうか。でも、どうやって?


お小遣いは定額制がいいのか、報酬制がいいのか。正しい金銭感覚はどうやって、いつから教えるべきか。ケータイの普及など、自分が子どものころとは状況も異なるし、いざ考えてみるとわからないことだらけ。そこで、教育界ナンバー1メルマガ「親力で決まる子供の将来」の発行人で、教育関係で20冊以上の著書のある親野智可等さんにお会いしてお話を伺った。親野さんは「本当の金銭教育とは何か?」というテーマで講演も行っている。


●お小遣いは定額制と報酬制、どちらがいいの?


まずは、気になるお小遣いのあげ方について聞いてみた。

「欲しいものがあるときにお金をあげるという場当たり的な対応では、子どもは何も身につけられません。お小遣いは定額制がいちばんいい。一般的には1ヵ月単位ですが、最初は2週間でもかまわないので、自分でやりくりさせる経験が大切です。基本は、小学生であれば学年×100円。物価の高いところでは、それに+100円してもいいでしょう」


なるほど。小学校高学年になるまでは、必要なときだけ渡す方法でもいいんじゃないかと何となく思っていたが、定額制がいいのか。実際、1年生から定額制にしても子どもは管理できるのでしょうか?


「早ければ、年長さんくらいから始めてもかまいません。ただ、やりくりできるかどうかは個人差が大きいので、無理して早く始める必要はありませんよ」

「大事なのは買ったものを記録することです。お菓子にしろ、おもちゃにしろ、書き込み式のカレンダーでも専用のノートでもいいので、とにかく記録する。そして、自己評価。買ってよかったかどうかを、子どもに考えさせましょう。買ってよかったら『○』をつけ、買わなければよかったら『×』を、まだわからなければ『?』をつけます。これを何度か繰り返すと、衝動買いがなくなります。買うときに、これは本当に欲しいのかな? と、子どもなりに考えるようになるからです」


●困った! おばあちゃんからの臨時収入が入ったら、どうする?


定額制、お小遣い帳、自己評価——この3つのセットが重要だと、親野さんは言われる。そしてお小遣い帳を、次にお小遣いを渡すときに親がきちんとチェックし、不明金があればなぜそうなったかを考えさせるという。これ、大人が家計簿をつけてやるべき「お金の管理」と同じじゃないですか?

「はい、でも小学1年生でもちゃんとできます。算数の勉強にもなります。最初は、お小遣いで買うのはお菓子だけとしておいて、上手になってきたら、文房具もお小遣いで買うようにと金額を増やすこともできますよ」


さて、ここで障害となりうるのが祖父母や親戚からの臨時収入だ。「6ポケット」なんて言われるとおり、わが家でも祖父母は娘にめっぽう甘い。「余計なお金をあげないでください!」なんて言いづらいし、どうしたらいいのだろう。

「例外は必ず出てきます。おじいちゃん、おばあちゃんからもらったお年玉などをそのまま受け入れると、せっかく頑張っていた定額制が崩壊してしまいます。これは特別会計として処理すればいいんです。預金通帳を作ってもいいですし、とにかく普通のお小遣いとは別会計にすることです」


これほどまでに自分でお金をやりくりさせる定額制が必要だと親野さんが力説するのは、小学校教師を23年間務めた経験の中で、多重債務や借金苦で一家離散になった悲惨な家庭を見てきたから。その中には、経済的な面で問題はあるものの、給食費を払わないのに別のところで散財するような親もいたという。


「金銭教育と聞くと、投資や金融の知識を教えることだと誤解する人が多いですが、本当に必要な金銭教育は、自分の欲望をコントロールする能力を養うことです。これは一生にわたるお金との付き合い方を決定づける能力ですが、それができていない大人が多い。すぐに身につくものではありませんから、小さいうちから習慣づける必要があります」


お小遣い定額制は、お金との付き合い方という「生きる力」を身につける第一歩というわけだ。親として、がぜん責任感も湧いてきた。続いて、親野流の金銭教育を日常生活の中で実践するヒントを伺っていこう。

初出「パパナビ」

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