子どもが学習習慣を身につけられる環境について、親野智可等さんにお聞きして、特に小さいうちはリビングで勉強させるのがいいことはわかった。でも、それだけで本当に勉強するようになるのだろうか。勉強そのものを嫌がる場合はどうすればいいのだろう?



●たくさん褒めれば、子どもは勉強がどんどん好きになる!?


「子どもの勉強に対するモチベーションは3つしかありません。一つめは、勉強自体が楽しいこと。歴史の勉強が大好き、漢字を覚えるのが楽しくてたまらない、計算問題を解くのが楽しくてたまらないなどです。二つめは自分で夢や目的をもつこと。宇宙飛行士になりたいとか、漢字博士になりたいとか、今学期の間にテストで二重丸を10回もらいたいとか、そういった目的意識です」


「そして三つめは、褒(ほ)められることです。理想的には一つめと二つめがいいのですが、多くの子にはそれは難しいです。でも、そういう子にとっても褒められることは大きなモチベーションになります。だからお父さん、お母さんは、子どもが勉強したらまず褒めてください。叱るのをやめて褒めることを増やせば、必ず勉強が好きになります」


うんうん、褒めることが大事というのは知ってますよ。幼児期のしつけでも「たくさん褒めましょう」というアドバイスはよく聞いた。でも現実には、なかなか思うようにいかず、つい叱ってしまうことが多い。


「字が汚い、姿勢が悪いと叱ったり、あるいは間違ったところを直すことを優先したりすると、親の身近で勉強する意味がありません。むしろ逆効果です。普通、勉強しないと叱られるでしょ? でも子どもの中には、勉強すると叱られると思っている子がけっこう多いんですよ。親が否定的な働きかけばかりしてしまうからですね」


●なかなか褒められないパパに、おすすめの「褒め方」


耳の痛いお話を伺ったところで、親野さんに「褒め方」のテクニックを教わった。

「なかなか褒められない人に、使っていただきたいテクニックがあります。部分を褒めるテクニックです。漢字の書き取りで、全体的に字が雑だったとしても、上手に書けている字を見つけて褒めましょう。字が見つからなかったら、もっと細かく、『このしんにょう、上手に書けてるね』でもいい。作文でも計算でも、合っている部分をたくさん褒めて、最後に直すべき箇所を指摘するのです。そうすれば、子どもは素直に言うことを聞いて直しますよ」


「丸つけにもコツがあります。終わったらすぐに採点する『即時確認の原理』についてお話ししましたが、その丸も、けちけちしないで、『はなまる』をつけてあげる。しかも、赤ボールペンのような地味なペンではなく、カラフルで華やかな、太めの水性ペンまたは赤鉛筆がおすすめです。できれば、ひとつずつ、はなまる。そして、間違っているところには『レ点』を小さく。逆に、丸は小さく書き、間違っているところに大きな『×』をつける人がいますが、これはいけません。大切なのは、印象です。丸つけで良いイメージをつくってあげると、子どもは勉強が楽しくなります」


勉強すると褒められるというイメージをつくれば、勉強が楽しくなり、それが学習習慣につながっていくという訳か。よし、妻とも話して、これからは意識して娘を褒めるようにしよう。


●遊び好きな子を勉強させるための工夫とは?


親野さんにはさらに、勉強に取りかかるハードルを下げる方法を幾つか教えていただいた。たくさん褒めることで徐々に勉強好きにさせていくとしても、子どもはやっぱり遊ぶのが好き。だから、親が工夫して心理的なハードルを下げてあげることが必要だという。


例えば親野さんのメルマガの読者で、玄関に大きな箱を置いておき、学校から帰ってきたらかばんの中身をすべてその中に出させるという方法を編み出した人がいる。その家の子は、いつもかばんを放り投げて遊びに行っちゃうような子だったが、中身をすべて出すことで、遊びから帰ってきてから宿題に取りかかりやすくなったという。


「宿題をやろうかなと思ったときに、中身が既に出ていれば取りかかりやすい。それだけでも宿題に一歩近づきます。さらにいいのは、その日に使う勉強道具を取り出し、テーブルの上に置いてから遊びに行くことです。そうすれば、今日はこれだけやればいいというのがわかります。『位置について、よーい』までやっておく訳です」


こうした考え方を発展させたものとして、親野さんは「とりあえず1問方式」と名づけた方法を提唱されている。これは、帰ってきて遊びに行く前に、書き取りなら1字だけ、計算ドリルなら1問だけやっておくというもの。


「1問やることで全体量がわかり、だいたい何分でできるな、大したことないな、と思えるようになります。そうすることで、勉強への取りかかりがぐーんと楽になるのです。何でもそうですが、取りかかることができれば半分終わったようなものですよ」


そのほかにも、例えば5時15分から勉強の時間と決めておき、CDプレーヤーのタイマーをセットして毎日5時15分に子どもの好きな音楽が流れるようにする、といった方法もある。それを繰り返すことで、その音楽が流れると子どもが勉強モードになるという。次から次へと出てくる、親野流・学習環境のつくり方。では最後に、家全体を使って環境を整える工夫について伺っていこう。

初出「パパナビ」

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