今週の相談
 
小学2年生の娘のことです。私が言わなければ、家では何もしないのです。宿題、勉強、手伝い、学校の支度など。幼稚園のときも、1年生のときも、学校などではきちんとできているのに、家ではどうしてやれないのでしょうか?(あずきさん)


【親野先生のアドバイス】
あずきさん、拝読いたしました。

幼稚園でも、そして、学校でも、とにかく外ではしっかりできているのですね。それなのに、家ではしっかりできないというわけです。

でも、それでいいのですよ。それが普通なのです。子どもも子どもなりに、外ではけっこう気を張って一生懸命がんばっているのです。先生や友達を意識しながら、けっこう無理しているのです。

だから、家にいるときぐらいのんびりしていたいのです。
家にいるときぐらい、ぐうたらしていたいのです。

たいていの大人は、「子どもはいつも素のままでいいな、うらやましい」などと思っていますが、そうでもないのです。実は、子どもの方が人間関係の経験が少ない分だけ、余分な苦労も多いのです。大人のように自分のこともまだよくわからないし、人の気持ちはなおさらわからないので、うまくいかないことが多いのです。

これは、自動車の運転と似ているところがあります。皆さまが自動車の運転を覚えたときのことを思い出してみてください。最初は、なかなかうまく運転できません。

ゆっくり進むべきところでスピードを出したままだったり、スピードを上げるべきところでゆっくりのままだったりします。また、見るべきところを見ないで、見なくてもいいところをいつまでも見ています。練習しているうちに、その辺りのエネルギーの配分や切り替えがうまくなります。だんだんコツがわかってくるのです。

自分自身を運転するのも自動車を運転するのと似ています。子どもは、人間関係のなかで自分自身を運転する練習をしている段階です。まだ、コツが飲み込めず、エネルギーの配分や切り替えが下手なのです。その分、疲れるのです。

ですから、家で一番大切なのは、子どもが安らかな気持ちでいられるようにしてやることです。外でのストレスを解消し、自分自身を癒やす時間が必要なのです。家でゆったりと休むことで、また外でがんばれるようになるのです。家は充電の場なのです。