子どもがなかなか宿題や勉強をやらなくて、「勉強しなきゃダメでしょ」と毎日叱っているうちも多いことと思います。

これについても合理的な工夫が必要です。

ぜひ工夫してほしいのが勉強に取りかかりやすくする方法です。

たとえば、リビングに広くて浅い箱を置き、学校から帰ったらすぐにカバンの中身をすべてその箱の中に出すようにします。

たとえそのとき宿題をやらないとしても、これだけはやっておくようにします。
すると、いざ勉強となったときに、宿題の計算プリントや漢字ドリルが手に取りやすくなります。

さらに、それらを箱から出してテーブルや机の上に並べておけばもっと取りかかりやすくなります。
ページを開いて下敷きを入れておけば、また一歩近づきます。

そして、さらに効果的なのが取りあえず一問方式です。
つまり、計算プリントなら一問、漢字書き取りなら一字だけ、取りあえずやっておくのです。

一問やるときに当然のことながら全体が目に入ります。
すると、漠然とながら終わりまでの見通しがつきます。
これによって、いざ勉強というときに取りかかりやすくなるのです。

おとなの仕事でも、見通しがつかなくて終わりが見えないときは本当に苦痛です。
見通しがついた瞬間に、気持ちが楽になってやる気がわいてくるというものです。

さて、このような工夫が一切なくて、すべてがカバンの中に入ったまま手つかずの状態だとどうなるでしょう?

宿題があることはわかっていますが、どの程度のものなのかまったくわかりません。
時間が経てば経つほど、得体の知れない巨大な不安がますます大きくなり、よけい取りかかれなくなります。

初出『共同通信』

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