一人っ子については、“わがまま”のみならず、よく“一人っ子は○○だから”という一人っ子あるあるがまことしやかに語られますね。


でも、それってどれも本当なのでしょうか? 
よく言われる“一人っ子あるある”について、教育評論家の親野先生にお話を伺いました。




●Q.一人っ子は独占欲が強いってホント?

「そんなことはありません。なぜなら、人間というものは、自分の心が満たされてはじめて他の人のことを思いやることができるのです。一人っ子で親や家族の愛情をたっぷり受け育てば心が満たされます。物質的にも満たされているケースが多いので、“我先に”という発想も、もともとありません。だからこそ、かえって人のことを思いやったり、一歩引いて譲ったり、分け与える余裕が出るということもあると思います」(親野先生 以下同)




●Q.一人っ子は打たれ弱いってホント

「兄妹のなかで揉まれて育っていないから打たれ弱くなる。なぜかこういう考え方が浸透していますよね。これも違います。打たれ弱い人というのは、“自己肯定感が低い人”なんです。逆に自己肯定感があって、他者信頼感がある人は打たれ強いんです。一人っ子はたくさん褒められて育つことが多いので、自己肯定感が高い子が多いです。ただし、お母さんがマイナス思考の否定語を浴びせる人だと違ってしまいます。
ずーっとその言葉を一身に浴びてきた一人っ子は、オレは(私は)ダメだ…となってしまう。お母さんの言葉っていうのは一人っ子に限らず兄妹が何人いようが、自己肯定感を育むうえでとても重要なんです」




●Q.一人っ子は競争心がないってホント?

「確かに競争する必要のない環境で育っているので、その傾向はないとは言い切れません。でも安心してください。そんなものは小さいときの一時的なものにすぎません。例えば、その子が何か夢を持ったとします。夢を持ってやりたいことが見つかれば、それに向かってまい進するわけです。目的意識があれば、人に負けないように頑張れるし、勝ちにいくんです。一人っ子だから…は関係ありません。お子さんがやりたいこと、好きなことを応援してあげる。まずそういう環境を作ってあげてください」




●Q.一人っ子は人間関係の調整力に欠けているってホント?

「これも、兄弟間だけで学ぶものではありません。今は3歳くらいから保育園や幼稚園に行く子がほとんどです。ですから、兄妹がいなくてもそういう場で人間関係の経験は十分にできます。もし、お子さんを見てまだ経験が足りないと思うなら、同世代の子と関わる機会を増やしてあげればいいんです。近所のお友だち、いとこ、習い事…それで十分学ぶことができます」




●Q,一人っ子は兄妹がいなくて可哀想なの?

「これも一概に言えません。一人っ子は親の愛情を独占できますが、兄妹の場合、甘えるのが上手な子・下手な子、叱られるのが多い子・少ない子、親との相性、親が“この子は大丈夫”と判断して放置されがちな子など、人知れず寂しい思いをしている子がけっこういるものです。大事なのは、一人っ子だとか兄妹とかそういうことではなく、一人ひとりが“家族に愛されている”と実感できるように心を配ることです」


完璧な環境などないのです。
一人っ子にも兄妹にもメリット・デメリットがあります。
大事なことは、メリットは活かし、デメリットは補ってあげる。
親の心がけ次第で、子どもたちはどんな環境でも幸せになれるのです。

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