小学校入学を前に緊張しているのはお子さんだけではなく、親も同じ。ランドセルに文房具など、必要なものの準備はできていても、やっぱり親の心には「わが子はうまく小学校でやっていけるのだろうか?」という学校生活への不安が湧いてくるものです。

 今回は「入学集中シリーズ」として、新1年生のために親ができることを、公立小学校で23年間、教師を務めた経験からメルマガ「親力で決まる子供の将来」を発行する教育評論家・親野智可等さんにお話を伺いました。新1年生だけでなく、小学校低学年のお子さんにも役立つ根本的なお話しですので、小学校低学年のママ・パパさんは参考にしてみてください。

 1回目は、保育園や幼稚園から環境が一変することで起きるわが子の変化についてです。親は何をすべきなのでしょうか?

●年長さんのときにしっかりしていたわが子が幼児返り!?

日経DUAL編集部 小学校に入ると、環境が保育園や幼稚園から一変するわけですが、どういったところが変わり、親は子ども達のどういったところに気を付けておくのがいいのでしょうか?


親野さん(以下敬称略) 小学校に入学したばかりの子どもは、すごく緊張しているものです。新しい学校に新しい先生、新しい友達。しかも、共働き家庭であれば、学童もある。何もかもが新しいから、緊張しています。

 だから、おうちに帰ってきたら、ダラダラしたくなります。あるいは、すごく不機嫌になっているとか、疲れ果ててすぐに寝てしまうとか……。私が教えていた子どもで、おうちの玄関にたどり着いたところでドアを開ける前に寝ちゃった、なんていう話もありました(笑)。


──疲れ果てて晩ごはん中に寝てしまうといった話も、小1の壁を経験した親からはよく聞きます。


親野 そういうのも多いですね。下校中に歩きながら寝ちゃうといったこともあります。小学校に入りたての子どもというのは、とにかく疲れているので、ダラダラ、グズグズするものだということを、まずは頭に入れておいてほしいですね。

 そのことを分かっていないと、親はとにかく心配だから、あれこれ聞こうとしてしまいがちです。「今日はどうだったの?」とか、「ちゃんとお話聞けた?」とか。しかも、矢継ぎ早に聞いてしまうのです。子どもの反応がなかったらますます焦って、「しっかりしなきゃダメでしょ!」となってしまうんですよね。

 そうならないよう、基本的に、小学校に入学したばかりの子どもというのは、疲れているんだということを親がシッカリと意識してあげましょう。疲れているのだから、家に帰ったら、まずは子どもを休ませてあげるようにするのが最優先です。リラックスできるようにしてあげてほしいですね。

 それと、もう一つ。年長のときにはできていたことが、できなくなるといったことが時々ある、ということも覚えておきましょう。保育園では年長さんが一番年上です。年中さん、年少さんのお手本になろうということで発破(はっぱ)を掛けられて過ごし、家でも「もうすぐ小学1年生でしょ!」と発破を掛けられる。割と生活態度面でも気持ち的にもシッカリしてくるものです。

 ところが小学校に入ると、いきなり最年少になるわけです。6年生をはじめ、上級生が何かとチヤホヤしてくれて、色々と面倒を見てくれるようになるんですね。そこでちょっとした幼児返りのような面が出てくるといったケースがよくあります。

●共感的に子どもの話をジックリ聞いて“情報”を仕入れる

──小学校に上がると、いよいよ自立に向けた第一歩が始まるイメージがありますが、幼児返りされたら、ますます心配になりそうです。

親野 入学して1カ月くらいしてから授業参観に来られた保育園や幼稚園の先生が、保育園や幼稚園のときよりも幼く見えるとよく言います。上級生は新1年生の面倒を見るのがうれしいものだから、何かと世話を焼こうとするので幼児返りみたいなことが起こるのですが、それも普通のことだということをお伝えしておきたい。「これで大丈夫なんだろうか?」などと、不必要に心配することはありません。

 入学当初はグズグズするものですし、「疲れちゃった~!」などとよく言うようにもなるので、家ではリラックスさせてあげる。あまり学校のことも根掘り葉掘り聞かないほうがいいでしょう。

 とはいえ、元気そうだなというときがあれば、逆に聞いてみるのもいいでしょう。きっと、色々と愚痴をこぼすはずです。友達がどうのこうのとか、先生に叱られちゃったとか。ただ、そういうときにしてはいけないのが、「ちゃんと先生のお話を聞いてないからでしょ」などと突き放すような反応を親がしてしまうことです。

 「そうだったの、嫌だったね」などと、“共感”しながら聞いてあげる。そうすると、子どもはたまっていた愚痴をこぼすことができる。親に聞いてもらって共感してもらえると、子どもは気持ちがスッキリして、ストレスを解消することができます。

 共感してもらえると子どもはたくさんしゃべるので、「ああ、そういうことか」と分かる。子どもの情報が本人から得やすいですよね。ジックリ聞いてあげることで、「友達関係が心配だな」とか、「先生との関係が心配だな」など、親としてどうすればいいかが見えてくることもあります。

 ところが、「ダメでしょ、それじゃあ。もっとしっかりしなきゃ!」などと門前払いをしてしまうと、子どもは話せなくなってしまい、それ以上の情報が入らなくなってしまいます。親は共感的に話を聞いてあげるということが、非常に重要です。


──保育園や幼稚園のときと比べると、小学校でわが子がどう過ごしているのか見えなくなることが多くなり、とんでもないことをしていてビックリしたという話もよく聞きます。上履きを忘れてしまい、そのまま1週間、靴下だけで過ごしていたとか……。


親野 それは、子どもによると思いますが、そういう話はよくあることです。だいたい、保育園や幼稚園のひとクラスよりも人数が増えますし、先生が見る人数が当然、増えますから。保育園や幼稚園のときよりも目が行き届かなくなることは、どうしてもあります。

 それだけに、子どもの話をシッカリと聞いて、情報を仕入れることが大事です。それとともに大事なのは、先生とのコミュニケーションです。気になることや心配事があるなら、連絡帳に書いたり、直接、先生に電話をして聞いたりしたほうがいいでしょう。

 ただ、ここで注意していただきたいことは、連絡帳の書き方や電話のかけ方です。「息子(娘)がこう言っているんですけれど、どういうことですか!?」と詰問する感じで連絡帳に書いたり、電話したりする親がときどきいます。こういう場合には、当然、大人のマナーをわきまえてコミュニケーションを取ったほうがいいと思います。

 「いつもお世話になります」とか、「先生に受け持っていただいて、子どもは毎日、楽しいと言っております」とか(笑)。そういった話から入っておいて、「実はこれこれこういうことを言っているんですけど、どうなんでしょう?」とか「こういうことが心配なんですけれど」とか。前置きが何もなく、いきなり本題から入ってしまう。すると、やはり先生も人間ですから、この親はどういう人なんだろうと、身構えてしまいますよね。一般的な大人のマナーは、学校においてもやはり、必要なのです。

↓↓↓↓↓
つづく

今日のアマゾンを見てみる

親野智可等のメルマガ
親野智可等の本
遊びながら楽しく勉強
親野智可等の講演
取材、執筆、お仕事のご依頼
親野智可等のお薦め
親野智可等のHP