これはSさんという人に聞いた話です。
Sさんはある週刊誌の記者です。

Sさんには中学2年生の娘さんがいます。
この娘さんはお父さんであるSさんのことが大嫌いです。
もっとはっきり言うと軽蔑しています。

それでSさんは悩んでいます。

なぜ娘さんはお父さんを嫌うのでしょう?
娘さんはこう考えています。


お父さんは人を不幸にして、それで雑誌がたくさん売れると喜んでいる。
芸能人が誰かと付き合っている、誰かと不倫した、誰かとけんかした……。
そういうくだらないことを調べて、写真を撮って、雑誌に載せて喜んでいる。

幸せだった人がたった一つの記事で不幸のどん底におとしいれられる。
その人だけでなく家族も子どももみんな不幸になる。
子どもは転校させられ、友達とも別れなければならない。

たった一つの記事で、悩んで病気になる人もいるだろうし、立ち直れない人もいるだろう。
たった一つの記事で、それまで仲よくしていた人たちが憎しみ合うこともある。
お父さんはよく平気でそんなことができるね。
人を不幸にする権利がお父さんにあるの?

そんな仕事でお父さんは給料をもらい、そのお金で自分たちは生活している。
そのお金で自分も学校に通い、塾にも行く。
それがたまらなく嫌だ。


今、Sさんは悩んでいます。


あんなにかわいがって育てた娘が、今自分をこれ以上ないくらいに嫌っている。
この関係はこの先修復できるのか?
この先一生涯にわたって嫌われ続けるのではないか?

これほどまで娘に嫌われ軽蔑され、自分は一体なんのために働いているのか?

確かに娘の言うことには一理ある。
自分もまったく平気なわけではない。

だが、週刊誌には週刊誌の役割がある。
それに、会社という組織の中でサラリーマンとして働いているのだ。
そういう立場について、娘はまったく理解していない。

自分だってやりたくてやっているわけじゃない。
いろいろ仕方がないんだ。

でも、やっぱり、いろいろ言っても確かに娘の言うことには一理ある。
理屈はいくらでもつけられるが、でもやっぱり人を不幸にしているという事実は確かにある。
自分の気持ちも清々しない。

いっそ別の部署への異動希望を出そうか?
あるいは会社を辞めようか?

でも、その後どうする?
家族を養っていけるのか?

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