「中学情報フェア」(2016年7月3日(日))でおこなった講演の内容を紹介いたします。

この講演の主催者は愛知県私塾協同組合です。
http://askjuku.net/

●叱らず、責めず、工夫をする

 皆さんはお子さんにいろんな願いを持っていると思います。でも、現実は思い通りにいかず、どうしても叱ることが増える。「やらなきゃダメでしょ?」「何度言ったらわかるの?」。こういう言葉を日々浴びせられていると、大きな弊害が主に2つ出てきます。

 ひとつは自尊心がボロボロになり、親に不信感を持つ。もうひとつは不安から愛情確認行動に出る。愛情確認行動とは、危険なことや反社会的な行動をして親に心配をかけ、愛情確認をするという行為です。親子関係が非常に悪くなるということです。

 では、どうしたらいいのか。私が提案するのは、叱ってすませるのではなく、工夫して乗り越えるということです。

 例えば、子どもが「なかなか勉強にとりかからない」ケースでは、①準備方式、②一問方式、③音楽の活用、④模擬時計、⑤スケジュール表の活用などがあります。

 ①は、例えば学校から帰ってカバンも開けずに遊びに行く子だったら、遊びに行く前にカバンの中身を出させてから行かせる。帰ってきたらすぐに教科書が目に入って、宿題にもとりかかりやすくなります。教科書を手に取るハードルをとにかく下げておく。

 ②はさらに進んで、宿題を一問だけやってから遊びに行かせるというもの。一問やるだけでも、全体の見通しは立ちますから、次にとりかかるときの気持ちが軽くなります。とりかかりを楽にするのは工夫の中で一番大事です。

 ③は、子どもは音楽の条件反射に弱いところがあるので、勉強をスタートする音楽を決めておくというもの。子どもに曲を選ばせると、責任感が生じ、自分でとりかかります。

 ④は、アナログ時計の横に、決められた時刻を示した時計の絵を画用紙に描いて貼っておくというもの。例えば17時を示した絵に、「勉強」など書いておく。不思議なことに、「見える化」すると、体のほうが勝手に反応するんです。アドレナリンみたいな物質がだんだん出てくる。1分でも過ぎると何となく落ち着かなくなり、勉強にとりかかりやすくなるんです。時間は目に見えないから扱いにくい。特に子どもは時間管理の経験値が低いので、見える化することが大事です。

 ⑤も時間の見える化。ホワイトボードをビニールテープなどで区切って、学校から帰った15時くらいから夜寝るまでの時間割を作る。磁石で「勉強」や「ゲーム」など項目のプレートを作って、最初は親子で、いずれは自分でプレートを作って時間の管理をさせる。

 時間管理術というのは学力に直結します。見えない学力であり、人生の質にも直結します。子どもたちのこれからの長い人生で、その術を今から身に付けておくことは絶対必要です。口で言うだけではダメ。ツールを与えて一緒に使いながら自分でできるようにしていくことが大切です。

●「褒める」「共感する」言葉がけの大切さ

 子どもが勉強したときは、まず、やったこととやった中身を褒めましょう。褒めるときのコツは、部分に注目することです。例えば書き取りなら、「左はねが上手だね、縦角がキレイだね」などたくさんマルをつけて、最後に、「これとこれだけ直してね」と言えば、子どもは喜んで直してくれる。言いたいことは最後に言う。いきなり叱ると、子どもは反発する。言う順番が大事です。

 勉強だけでなく、日常の中での言葉がけは、叱るところからではなく、褒めるところから入るといいですね。嘘でもいいからまず褒める。それを毎日意識して続けていく。忘れないようにするには、「一日一回は褒めるぞ!」という決意が必要。続かないときは褒める時間を決めてください。アラームをセットして、鳴ったら褒める。言葉の工夫は、意識すればすぐできます。

 そして、さらに大切なのが「共感」。子どもが何かを言ったとき、まずは共感してあげてください。そして頃合を見計らって、ハードルを下げつつ、声をかけていく。最優先は共感です。自分の思いやアドバイスを伝えるのは、最後の最後です。

 それでも無理なら諦めも大事です。諦められないと叱ってしまう。そうすると後で伸びるはずの芽も摘み取ってしまい、親子関係も悪くなる。上手に手伝ってあげることです。やってあげると自立できないというのは誤解。自己肯定感を育てれば、子どもはそのうち自立していきます。(一部抜粋)

初出「塾ジャーナル2016年9月号」
http://www.manavinet.com/


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