例えば子供と一緒に食事の支度をしているとき、「イチゴが十二個あるけど、四人で分けたら一人分は何個かな?」などと言って、少し考えさせてから実際に分けさせてみる。
すると、割り算を習っていない子でも、かけ算に何となく関係があることが分かってくる。
「四・三、十二だから、三つずつだよ。」などと言い出すことも考えられる。
このような「算数のある生活」で日常的に、しかも具体的な場面を使って算数に親しませておくとよい。
そういう子は、割り算の最初の授業で「十五枚のクッキーを五人で分けると、一人分は何枚ですか?」などという問題が出たとき、難なく取り組める。
しかし、「算数のない生活」を送っている子にとっては、生まれて初めて見る問題である。
おまけに、目の前に実際のクッキーがあるわけでもない。
それは、何の下準備もない子にとっては、突然突きつけられた難問なのである。
このような「算数のある生活」は、種まきの前の土作りと同じである。
学校でいきなり種をまいても、相応の土ができていなくてはよい芽は出ない。
親がまず子供の教科書を見て、どのような土を作っておく必要があるか考えることから、「算数のある生活」をスタートさせて欲しい。
初出「小学三年生の心理」(大日本図書)
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