国語の力とは何か?それは、次の五つである。語彙力、読み取る力、書く力、聞き取る力、話す力。 したがって、国語におけるつまずきとは、この五つの力が十分ではないということである。

では、子供にこの五つの力をつけてやるには、どうすればよいのか?まず、絶対に不可欠なのが、読書の習慣を身につけさせてやることである。

私は今まで数多くの子どもを担任してきたが、読書の習慣がないのに豊かな語彙を獲得している子など、ただの一人もいなかった。

言葉の力のある子、一つ一つの言葉のニュアンスの違いにも気が付き使い分けられる子、初見でもすらすら教科書を音読できる子、これらは全て読書の習慣を身につけている子であった。

反対に、読書をしない子の語彙は、貧しい。それは、語彙を獲得するための水源が限られているからである。彼らの語彙の主な水源は、他者との会話とテレビである。

したがって、日常生活に差し当たっての支障はないが、少し知的な文章を読んだり何かを深く考えたりする場合には、彼らの語彙では間に合わなくなってしまうのである。

読み取る力や書く力についても同様である。文章の内容を的確に理解できる子、いわゆる行間を読み取ることのできる子、自分の経験や考えをぐいぐい書くことのできる子、これらは全て読書の習慣を身につけている子であった。

聞き取る力や話す力についても同様である。日常会話のレベルではそれ程の差は感じられなくても、それを超えた授業における知的な話し合いや討論においては、その差は明らかである。

しかし、以上のことは、当たり前と言えば当たり前のことである。いつも家の中でテレビゲームばかりしている子と野山を駆け回って遊んでいる子が50メートル競走をしたら、後者が勝つに決まっている。

読書をしないで国語の力をつけようというのは、テレビゲームばかりしていて五十メートル競走に勝とうというのと同じである。

読書の習慣がつけば、読書を楽しみながらいつのまにか国語の力をつけることができる。それは、野山を駆け回って遊びながらいつのまにか走る力がついているのと同じである。

初出「小学三年生の心理」(大日本図書)


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