みなさんは、子どもたちを指導しながら、次のように感じたことがありませんか?

どうして、この子はこんなに忘れ物ばかりするのだろう?
どうして、この子は宿題をやってこないのだろう?

どうして、この子はこんなに友達とけんかばかりするのだろう? 
どうして、この子はこんな簡単な計算ができないのだろう?

私は教師に成り立てのころからこういうことを感じていました。教室ではどの子にも同じように指導しているのに、出てくる結果はそれぞれに大きく違います。それは、なぜなのか?

その疑問への答えは、すぐに思い浮かびました。それは、本人の資質と家庭環境です。でも、本人の資質については、私にはどうすることもできません。

そこで、私は、家庭環境に注目するようになりました。家庭環境でも一番大切なのが、親です。もっと言えば、親の教育力です。私が言うところの「親力」です。

クラスの親たちを見ていると、中には、とてもすばらしい親もいます。温かい愛情で子どもを包み込んでいる親。きちんとした生活習慣を身に付けさせている親。環境に気を配り、自然に勉強が好きになるようにしている親。

中には、子どもがかわいそうに思えるような親もいます。しつけと称して、子どもにひどい言葉を投げかける親。自主性を伸ばすと称して、ほとんど放任状態の親。机に向かうことばかりを勉強と考えて、ただ「勉強しなさい」とガミガミ言うだけの親。

でも、そういう親たちも、本当は、自分の子どものためを思ってそれぞれ一生懸命にやっているのです。ただ、残念ながら、その一生懸命にがんばる方向が少し違っているのです。

どの親も我が子のことを愛していますし、大切に育てたいと思っているはずです。でも、そう思いつつ、日々の生活の中ではひどい言葉を子どもに浴びせてしまう人もいます。

どの親も子供の学力を付けてやりたいと思っているはずです。でも、日々の生活の中で、実際にどうしていいか分からないでいる人もいます。そして、ただ「勉強しなさい」とガミガミ言うほかない人もいます。

つまり、多くの親たちは、子どもを思う気持ちはあってもそれがからまわりしているのです。または、どうしていいのか分からないでいるのです。

それも、また、無理のない話ではあります。というのも、誰にとっても子育ては初めての経験なのですから。どこかの教習所で練習してから、というわけにはいかないのです。

それに加えて、核家族化が進んでいるということもあります。子育て経験のある人に、気軽に相談したり教えてもらったりすることもできにくくなっています。大変なときに手助けしてもらうことも、できにくくなっています。

おまけに、時代がかつてないほどのスピードで大きく変わっています。新しい物が次ぎ次と登場し、価値観も大きく揺れ動いています。

そういう中で、大人たちも自分自身がどう生きていけばいいのか手探りしているのです。これが、今の時代の状況です。

このような自分自身が手探りの中で、未来を生きる子どもを育てていかなければならないのです。これが今の時代の子育ての難しさです。

私は、このような状況を目にするに付け、自分にできることはないかと考えてきました。そして、日々多くの子どもたちと接している中で分かってきたことを、親たちに伝えていくことが一番いいのではないかと考えました。

そのために、学級通信を書いたり懇談会で話をしたりしてきました。私は、いつも懇談会でたくさん話をしてきました。私のクラスの懇談会は、ほとんどいつも最初から最後まで私の話でした。親たちもその方がためになるといってくれました。

そんな中、2003年9月に、朝日新聞の特集記事でメールマガジンというものがあることを知りました。メールマガジンは、書く方も無料、読む方も無料です。無名で何の実績のない人でも、努力次第で大勢の人たちに書いたものを読んでもらえるのです。

こういうことを、その時初めて知りました。「これは、自分のためのメディアではないか!」と、私はそのとき感じました。そして、「よし、このメディアを使って大勢の人たちに私の考えを提案していこう!」と決意したのです。

と、こう書くと格好いいのですが、実際はその後いろいろと試行錯誤がありました。なにせ、パソコンが苦手でしたから、ホームページを作るのに一番苦労しました。

私にはホームページ作成ソフトが難しそうに思えたので、メモ帳にタグを打ち込んで作ることにしたのです。この辺のすごく大きな勘違いが、素人の哀しさというものです。

マニュアルと首っ引きでやっとできあがったホームページは、滅多にお目にかかれないほどシンプルなものでした。でも、私は、自分の手で初めてホームページが作れたので大満足でした。

そして、決意してから約1ヶ月後に、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」をスタートさせたのです。スタートしてからは、20年以上蓄えてきたことが、一気に噴出し始めました。自分で言うのもなんですが、それが正直な感想です。

そういう私にとって、読者の方々からいただく感想がとても励みになりました。

・子どもとのコミュニケーションの取り方がよく分かりました
・子育てで今まで迷っていたことが、霧が晴れるように消えました
・目から鱗がたくさん落ちました
・学校の先生の考えが分かって、とても参考になりました

同業の学校の先生たちからもたくさんメールをいただきました。
・懇談会や学級通信の資料にとてもいいので、引用させてください
・子どもへの接し方で、多くのことを学ばせていただきました

最後に、これをお読みの先生たちに、ぜひお伝えしたいことがあります。それは、世の中の親たちは、現場の先生たちの生の声を聞きたがっているということです。その需要はとてつもなく大きなものです。需要に比べて供給がまったく足りていません。

ですから、ぜひ、みなさんも広く世の中に発信してください。みなさんの経験や知恵を求めている親たちがたくさんいます。あなたの発信するもので、多くの親子が助かるかもしれません。ぜひ、第一歩を踏み出してください。

初出「道徳と特別活動」(文溪堂)


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