いま、算数・数学の分野で非常に重要視されているのが数学的思考力や応用力と言われるものです。

つまり、ただ計算が速いとか、解法のテクニックをたくさん身につけて既に習った問題を素早く的確に解けるというだけでは十分ではないのです。

この能力は、大学などの高等教育の場だけでなく小学校の低学年においても重要視されています。

さらには、教育の場だけでなく社会で働いていく上でも豊かな人生を歩んでいく上でも大切な能力と考えられるようになっています。この傾向は日本だけでなく世界中で同じです。

これからは、未知の問題について論理的に考えたり試行錯誤して解いたりする力が必要なのです。そして、こういった能力を育てるのに極めて効果的なのがパズルです。

パズルとは、自分の頭と手を使って試行錯誤しながら解くものです。分かっていることを書き出したり補助線を引いたりもします。

試しに計算したり論理的に詰めて考えたりもします。この試行錯誤が数学的思考力と応用力を鍛えてくれるのです。

集中して試行錯誤していると、あるときパッとひらめきを得る瞬間が訪れます。これはとてもうれしい瞬間です。

そして、自力で解けたときにはさらに大きな喜びを味わいます。難しければ難しいほどその達成感も大きく、自信もつきます。

この頭と手を使って試行錯誤する過程は、算数・数学の問題を解く過程と本質的に同じです。パズルに親しむことでこの試行錯誤する力が身につくのです。これはとても大きなことです。

同時に試行錯誤する楽しさを知ります。また、難しい問題に出会ったときも、あの手この手で考えれば解くことができるはずだと思えるようになるのも大きなことです。

こういう子は、算数・数学の授業やテストで難しい問題が出たときも自分の頭と手を使って試行錯誤するようになります。

その楽しさを知っていますし、自信もあります。なにより、その能力が身についています。

そうでない子は、そういうとき解くのを諦めるか誰かに教えてもらうのを待つということになります。

テストのときに分からない問題を白紙で出すのはこういう子です。試行錯誤する力、つまり数学的思考力と応用力が育っていないのです。

そして、この力は小学校の高学年や中学生になったからといって急に身につくものではありません。やはり、低学年のときから少しずつ鍛えることが本当に大切なのです。

本書にあるパズルはこのような能力を鍛えるのにうってつけです。子どもが楽しみなが試行錯誤して考えるうちに、思考力と応用力が身につく良問ばかりです。

ぜひ、考えて解く楽しさをお子さんに味わわせてあげてください。そして、たくさんほめてあげてください。

そうすれば、算数が好きで得意と言えるようになります。

初出『頭脳開発3分間パズル 1年生 算数』(学研)
頭脳開発3分間パズル1年生さんすう―さんすうがすきになる!

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