●コミュニケーション不足が問題を大きくしている


子どもがスマホ中毒になって、ラインとツイッターばかりやっています。
ゲームにもかなりの時間を取られています。
叱ると猛反発して話になりません。


こういうお悩みをよく耳にします。
見かねた親が一方的にルールをつくって「この約束を守りなさい」と押しつけ、当然子どもが守るはずもなく、親が毎日がみがみ叱り続け、親子関係も険悪になってしまっている……。
こういう例がたくさんあります。


親が心配する気持ちはわかりますが、このような上から目線の一方的な対応で状況が改善することはあり得ません。
子どもは「親は私たちの現実を何も知らない。子どもの気持ちをわかろうともしない。何も知らないくせに押しつけてくる」と感じ、よけい心が離れていくだけです。


そして、親は親で「こっちがこんなに心配しているのに、子どもは親の気持ちがわかっていない」と思っています。
つまり、この問題の困難さの土台にはコミュニケーションの決定的な不足があるのです。




●子どもの話を共感的に聞くことで本音を引き出す


ですから、状況を改善するための第一歩としては、親子のコミュニケーションを十分にして、お互いがわかり合うことが大切です。
そのためには、親子の腹を割った話し合い、つまり本音トークの機会を持つ必要があります。


そして、本音トークのためには、まず子どもが本音を言えるようにすることが大切であり、そのために絶対必要なのが共感的に聞くということです。


ですから、子どもが「みんなやってるよ。ラインもツイッターもゲームも…。私だけやらないなんてあり得ない。仲間はずれになっちゃうよ」などの本音を言ったら、決して否定することなく共感的に聞いてあげてください。


「確かにみんなやってるとやりたくなるよね。一人だけやらないというのも、なかなか難しいかも…」と共感して、その気持ちをわかってあげましょう。
子どもには子どもの事情があるので、それを理解してあげることが大切です。


親が共感的に聞いてくれると、子どもは素直な気持ちになれるので、もっと深い本音も明かしてくれるかも知れません。


実際にこれを実行した人によると、子どもが「やりたくてやってるわけでもないし……。これでもけっこう大変なんだよ。すぐ返信しないとって思うから、いつもチェックしてないといけないから。けっこうめんどくさい」と打ち明けてくれたそうです。




●親も真摯な気持ちで本音を話そう


親に共感してもらえると、子どもは「お母さん・お父さんは私の気持ちをわかってくれる」と感じることができ、親に対する信頼が高まります。


そして、子どもの本音を引き出したら、親も本音を言うようにします。
「よくわかったよ。でも、親としては心配なんだよ。ずっとスマホを見てるからさ…。
目にもよくないし。勉強も寝る時間もなくなっちゃうよ」と心配する気持ちを伝えましょう。


また、「スマホの悪質サイトに引っかかって事件に巻き込まれる子もいるし……。たとえば、こういうこともあったよ…」と具体的な事件の情報を伝えて、その危険性についても話してあげるのもいいでしょう。


このときも、上から目線で押しつけるような話し方でなく、同じ人間同士として真摯に心配する気持ちを伝えるというスタンスが大事です。
親がはじめに子どもの話を共感的に聞いてあげていると、子どもも親の話を共感的に聞いてくれるようになります。


このように、お互いの本音を聞き会う中で信頼関係を築きつつ、次の段階のルール決めに進みます。
ルールを決めるときに大事なのは、これまでと同じく、上から目線で押しつけないということです。
同じ人間同士として交渉のテーブルに着くことが大事です。


つまり、これはTPPの外交交渉のようなものです。
外交交渉ですから、冷静に話し合い、主張し合ったり譲り合ったりしながら、お互い納得できる着地点を見つけていきます。


ルールに入れるのは、例えば、やる場所、時間帯、条件などです。
勉強後にやるとか、食事中はやらないとか、何時以降はスマホに触らないとか、子ども部屋に持ち込まないなどです。




●例えばこんなルールが必要


次のようなことも大事です。

▼フィルタリングを解除しない。セキュリティソフトの導入と更新をする。
OSの更新をする。迷惑メール対策サービスを活用する
たとえ無料のアプリでもダウンロードは勝手にしないで親の許可を得る

▼有料サイトは利用しないor有料サイトの利用は親の許可を得てから

▼知らない相手とやり取りしない。
知らない人と実際に会ったりしない。知らない相手からのメールのURLはクリックしない。知らない相手からのメールに返信しない。
チェーンメールは転送しないで親に相談する。

▼個人情報(名前、メールアドレス、電話番号、学校名、塾名、住所、位置情報など)がわかることは書かない。家族や友達の情報も書かない。写真で撮影位置の情報がわかることがあるので知らない相手に送ったり投稿したりしない

▼プロフサイト(自己紹介サイト)に個人情報や写真を登録しない

▼陰口、いじめ、仲間はずれはしない。

▼充電器はリビングに置く。○時には充電器にセットする。1日○時間まで。1カ月に○円以上やらない。○時から○時は使わない。自分の部屋やお風呂でやらない。食事中はやらない。歩きスマホや自転車スマホをしない。

▼ルールが守られたか、親は必ず毎日見届けをする。6日間守れたら日曜日は余分にやっていい。守れなかったときは次の日は半分にする

▼困ったことがあったらすぐ親に相談する。親は叱るのではなく相談に乗る。親子はお互いに話をしっかり聞き合う




●メディアと上手に付き合える自己管理力をつけよう

 
この他にも、「スマホ 子ども 家庭 ルール 約束」などのキーワードをいくつか組み合わせて検索すれば、ルールの例などの情報が見つかります。
ルールを決めたら、忘れないようにホワイトボードに書いて、見えるところに置きます。


このように、子ども自身もルール作りに関わることで遵守意識が高まります。
また、親が見届けをして、守れていたらほめ、守れていなかったら守るように言うことも大切です。
どうしても現実に合わないルールがあれば、もう一度話し合って作り直しましょう。

このように親子が協力しながら、一緒に試行錯誤しながら、魅力的なメディアと上手に付き合うための自己管理力を身につけていくことが大切です。


これは現代の子どもたちにとって必須の能力なのです。
親が一方的にがみがみ叱るだけでは身につけられません。

初出『月刊サインズ・オブ・ザ・タイムズ(福音社)2016年5月号』

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