人類は何万年もの時間をかけて世界に拡散していき、いろいろな文化や価値観を育ててきました。
そして、拡散の後に集中がやってきました。
人類がひとつになるグローバル時代の始まりは、歴史の必然なのです。
では、このような時代に生きる子どもたちにはどのような力が必要なのでしょうか?
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(本連載を1冊にまとめました)
私が極めて大切だと思うのは自己実現力です。
つまり、自分の価値観をしっかり持って自分らしく生きる力です。
言い換えると、自分がやりたいことをやり、いきたいと思う人生を生きる力です。
なぜかというと、これからの時代は出来合いの確固とした価値観がなくなるからです。
過去の時代はどの集団にも確固とした価値観がありました。
「こう生きるべき」という絶対的な価値観がありました。
武士は武士道に生き、戦後の日本人は経済成長に生きました。
国や時代によっては、食糧確保が全てだったり信仰が最大関心事だったりしたこともあります。
人々はみな閉鎖的な集団の中にいて他の価値観を知りませんでした。
だからこれが可能だったのです。
でも、グローバル時代には全ての価値観が相対化されます。
そうなると、人々は生き方に迷うようになります。
「他の人は何をしているのか?」と絶えず気になります。
ランキングの流行はその表れです。
「みんな」はどんな本を読み、どんな音楽を聴いているのか?
というように、他者の行動やメディアの情報が絶えず気になります。
下手をすると、人生の全てにおいて他者に振り回されてしまいます。
これでは自分の人生を生きているとは言えません。
人はみな自分の人生を生きるために生まれてくるのです。
生きる目的や夢を自分で決め、持って生まれた資質や才能を存分に開花させて自己実現するために生まれてくるのです。
自分の人生を生きる人こそ幸せな人です。
そのような人は他者の生き方も尊重します。
また、そのような人にはオリジナルな存在感がにじみ出てきます。
既にそのような人は各分野に存在します。
芸術家、科学者、技術者、公務員、経営者、ビジネスマン、どんな分野にもそのような人はいます。
彼らは新しい価値を創造し、諸外国からもその人の話を聞きに来ます。
真に自己実現している人は居ながらにしてグローバルな人なのです。
では、どうしたら子どもたちに自己実現力をつけてあげることができるのでしょうか?
実はその答えは至ってシンプルです。
それは、子ども本人がやりたいことをたっぷり応援してあげることです。
これが本当に大切なことなのです。
子どもの頃は親のやらせたいことばかりやらせておいて、大人になったら自分でやりたいことを見つけて自己実現できる人になって欲しい、などと思っているとしたらそれは不可能なことです。
でも、実際はこの不可能なことをやり続けている親がとても多いのです。
東京のある6年生の男の子はインカ文明を扱ったテレビ番組を見て興味を持ち、インカ文明展に行きたがりました。
でも、中学受験の勉強に邁進させたかった親はノーと言いました。
こういう例は山ほどあります。
でも、そうでない親もいます。
愛知のある5年生の男の子はメカ工作に夢中で、親と親戚のおじさんがそれを応援してくれています。
既に中学生でも作れないような物を作れるレベルです。
家にあるいろいろな部品や工具でオリジナルなメカを作るなど、毎日喜々として取り組んでいます。
この二人のうち、自己実現力をつけられるのはどちらでしょうか?
答えは言うまでもありません。
初出:目指せ! グローバルキッズ! 子どもにつけてあげたい12の翼
『子ども英語ジャーナル』(アルク)2011年4月号
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