小学校の先生だったとき、私は自分が子どもだった頃のことをよく子どもたちに話してあげました。

とくに人気があったのは失敗談です。

運動会の徒競走でビリになったこと、トイレに落書きをして怒られたこと、ソロバンの試験に落ちたこと、かくれんぼの最中に肥だめに落ちたこと、などは大受けでした。

中学生のとき数学の授業中に教科書を顎でめくって、先生からげんこつをもらった話も大受けでした。

もう一つ人気があったのは、初恋の話でした。聞いている子どもたちもみんな何かしら思い当たる節があるようで一生懸命に聞いてくれました。

こういう話は、話し手と聞き手の関係を近しいものにしてくれます。
この人も自分と同じ人間なんだということが分かることで、ぐっと親しみが増すようです。

ですから、私は、親であるみなさんも、自分が子どもの頃の話をしてあげるといいと思います。
みなさんのお子さんは、親であるみなさんが子どもの頃のことをどれだけ知っていますか?

ほとんど知らないのではないでしょうか?
だいたいいつも小言ばかり言っているので、子どもはみんな聞き飽きています。

みなさんの物語で、子どもに生き方のモデルを見せてあげることもできます。
子どもは人生経験が少ないので、生き方とか人生というものがまるでわかっていません。

テレビや本、マンガ、アニメ、小説、伝記などで少しずつそれを学んでいくわけですが、一番身近な親の物語をしてあげるとすごくよい栄養になります。

また、お母さんも運動が苦手だったんだ、とわかってホッとするかも知れません。
なんらかの教訓も学ぶでしょう。

こういうとき人間はこう感じるものなんだという、人間の心理も学ぶでしょう。
それらの全てが子どもの栄養になります。

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