語彙を豊かにすること、つまりたくさんの言葉(概念)を知ることは、国語力、思考力、表現力を高めることに直結します。
そのためには、前回書いたように本に親しむことが大切です。

でも、それ以外にも大切なことがあります。
まず、忘れていけないのは親子の会話です。
そもそも、子どもが言葉を覚えて話し始めるための第一の栄養源は親の言葉です。

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一応話せるようになってからも、会話を通して親の言葉から学ぶ部分は他の何よりも大きく、その影響力は絶大です。

ですから、親子の会話の中で語彙を増やすことを意識していることが大切です。
親がいつも同じ言葉を使うのではなく、いろいろな言葉を使い分けるように心がけているといいでしょう。

例えば、子どもが粘土に夢中になっているのをほめるとします。
いつもいつも「粘土が上手だね」だけでは語彙は増えませんし、ありがたみもなくなってしまいます。

次のような、いろいろな言葉でほめてあげるといいでしょう。
「粘土が得意だね。工夫してるね。アイデアがいいね。発想が豊かだね。粘土の天才だね。集中力がすごいね。熱中力があるね。無我夢中だね。脇目もふらずに作ってるね。粘土三昧だね。芸が細かいね。大胆な発想だね。仕上げが丁寧だね」などです。

抽象的なほめかただけでなく、その子のこだわりを見抜いてもっと具体的にほめてあげるとさらに効果的です。
「顔の表情が生き生きしている。今にも動き出しそうな迫力がある。足の角度を工夫したね」などです。

このようにほめられると子どもはとてもうれしくなります。
また、語彙を豊かにするという点でも効果的です。

(もちろん、「粘土の天才だ」と同じ言葉を繰り返すことで本人に強く印象づける方法もありますが、語彙を豊かにするという点ではいろいろな言葉の方がいいわけです。)

また、例えば、疲れたときの言い方にもいろいろあります。

「疲れた。疲れ切った。疲れ果てた。くたびれた。くたびれ果てた。へたばった。へばった。ばてた。ばてばてだ。へとへとだ。ふらふらだ。グロッキーだ。疲労困憊だ。疲労の極致だ。過労状態だ」

親がこのような言葉を使いわけていれば、子どももその時々の疲れ具合によって一番適切な言葉を使えるようになります。

さらには、いろいろな言葉を使い分けるだけでなく、オリジナルな表現に心がけることも大切です。

「今日は本当に暑くてたまらないね」ではなく「今日は暑くて吹き出す汗で顔が洗えるくらいだよ」の方がオリジナルです。

「蝉の鳴き声がすごいね」ではなく「蝉の鳴き声がすごくて耳に穴があきそうだよ」です。

会話の中で、このようなちょっとしたオリジナルな表現に心がけてみましょう。
そうすれば、語彙が豊かになると同時に表現力がつきます。

こういったことの積み重ねは非常に大きな力になります。
日常会話の表現力が高まるだけでなく、作文の表現力も高めることにつながります。

このように親が言葉に意識的になると同時に、子どもが言葉に意識的になるように働きかけることも大切です。

例えば、子どもが「むかつく」と言ったとき、次のように聞いてあげるといいでしょう。

「むかつくんだね。じゃあ、今の気持ちを他の言葉で言うとどれに近い?」
「う~ん…」
「なんとなく落ち着かない?すっきりしない?いらいらする?頭に来る?腹が立つ?はらわたが煮えくり返る?」
「う~ん、なんとなくいらいらする感じ」

このように聞いて考えさせると、自分の気持ちをさらに適切に言い表す言葉を探すことができます。
それは、内面を見つめて自分の心についてよく考えることでもあります。

そして、自分の気持ちについて「むかつく」という曖昧な認識からもう少しはっきりした認識に高めることができます。
語彙を豊かにすることは、自分の気持ちをより適切に理解することにもつながるのです。

このような言い換えの練習は、いろいろな場面で使えて応用範囲の広い方法です。
しかも、語彙力と表現力の向上に極めて有効です。

さて、いろいろ書いてきましたが、1つ注意があります。
これらはすべて楽しみながらやってください。
子どもの実態に応じて少しずつ無理なくやってください。

親とのおしゃべりが苦痛になってしまっては、元も子もありませんので。

子どもとの会話を楽しみながら、子どもをほめながら、日々の生活の中で少しずつ積み重ねるのです。
そうすれば、語彙が豊かになり、国語力、思考力、表現力が高まります。
小さなことの積み重ねは実に偉大です

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