入学準備というと、ランドセルを買ったり必要な持ち物に名前を書いたりということを思い浮かべるひとが多いと思います。
同時に、ひらがなや数の数え方のこと、あるいは自分の身の回りのことが自分でできるようにすることなどを思い浮かべるとひとも多いと思います。

もちろん、それらはどれも大切なことですから、この連載でも順次書いていきたいと思います。
でも、そういう明らかに入学準備らしい入学準備とは思えないようなことでも、とても大切なことがあるのです。
この連載では、それらについても書いていきたいと思います。

7歳までに学力アップ!
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(本連載を一冊にまとめました)

まず、今回強調したいのは、親の話し方についてです。

もし、普段の親の話し方が次のような否定的なものだったらどうでしょう?
「○○しなきゃダメでしょ」「○○しないと□□してあげないよ」「なんで○○できないの?ダメだね」「何度言ったら○○できるの?」「それじゃだめでしょ」「○○がへただね」

日ごろから親がこういう話し方をしていると、だんだん子どももこうい話し方をするようになります。
というのも、子どもにとって、親の言葉は最大の言語環境だからです。

毎日こういう言葉をシャワーのように浴びていれば、当然子どももこういう言葉をつかうようになります。
真似するなといってもムリな話です。

当然、学校でも友達に対してこういう話し方をするようになります。
それがその子の友達関係にどんな影響を及ぼすか、それは言うまでもないことです。

もし、普段の親の話し方が次のような肯定的なものだったらどうでしょう?
「○○するといいよ」「○○するとうまくいくよ」「○○ができてきたね」「○○してくれて、ありがとう」「○○がじょうずだね」「がんばってるね」「すごいね~」

親がこういう話し方をしていれば、だんだん子どももこういう話し方をするようになります。
当然、学校でも友達に対してこういう肯定的な話し方をするようになります。

それについて、私は、かつて受け持った1年生のKさんという女の子のことを思い出します。
Kさんは、「○○君て、絵がすごくじょうずだね」「○○君がんばってるね」などの話し方が自然にできるのです。
授業中にほかの子が発表すれば、「すご~い。私、気がつかなった」「○○さんの説明ですごくよくわかった」と言います。

給食を食べれば、「このスープすごくおいしい」「あ~、やっぱりカレーはおいしいね~」と言います。

ほかの子が教室に花を持ってきてくれれば、「○○さん、ありがとう。Kちゃん、このお花、大好き」と言います。
昼休みに友達と遊んで帰ってくれば、「みんなでケイドロやって楽しかった。学校って大好き」と言います。

誰かとぶつかれば、すぐに自分から「ごめんね。だいじょぶ?」と謝ります。
先生や友達に何かしてもらったときは、「先生、ありがとう」「○○君、ありがとう」と気持ちのいいお礼を言います。

誰かが困っているときは、「○○さん、たいへんだね」「これ、Kちゃんもできないよ」と一緒の気持ちになって困ったり共感したりします。
そして、一生懸命助けようとします。

Kさんと話していると、誰だって明るく楽しい気持ちになってきます。
当然のことながら、Kさんはクラスのみんなに好かれていました。

そればかりか、子どもたちの中には、だんだんKさんの話し方に似てくる子もいました。
子どもたちも、無意識のうちに「こういう話し方っていいな」と感じていて、自然に真似するようになったのでしょう。

Kさんのお陰で、そのクラスはとても雰囲気のいいクラスになりました。
私は、「子ども一人の力も大きいものだ」と感じ入りました。

では、なぜ、Kさんはそういう話し方をするのでしょう。
それは、Kさんのお父さんとお母さんがいつもそういう話し方をしているからです。

Kさんのお父さんとお母さんには、家庭訪問、面談、参観会、運動会、音楽会、生活科の行事、PTA奉仕作業ときなどに何回もお会いしました。
私が、Kさんにお父さんとお母さんのことを聞いたこともあります。
それで、確かめることができたのです。

Kさんのお父さんとお母さんの話し方は、Kさんの話し方そのものです。
もちろん、いつも笑顔がいっぱいというところも似ています。

Kさんは、そういうお父さんとお母さんのもとで毎日をすごしているのです。
そして、本当にすばらしい宝ものを受け継いでいるのです。

もちろん、これほどすばらしい例は多くはありません。
すぐに誰にでもできることではないかも知れません。
でも、目指すべき方向性であることは確かです。
そして、方向性さえ正しければ、努力すればするほどいいことが増えていきます。

ぜひ、みなさんも、そういう方向性で進んでください。
親自身の話し方をよくするのが、最大の入学準備だと考えてください。

否定的な話し方をやめ、肯定的な話し方にしていきましょう。
そして、親は子どものいいところを見つけてほめるようにしましょう。
そうすれば、子どもも友達のいいところを見つけてほめるようになります。

また、親は子どもへの共感に心がけましょう。
そして、子どもが困っているときは優しく助けてあげましょう。
そうすれば、子どもも友達に対してそうするようになります。

また、親は子どもに素直に謝ったりお礼を言ったりしましょう。
そうすれば、子どもも友達に対してそうするようになります。

そして、これらは、すべて、みなさん自身が自分を磨くことでもあります。

「私だけでは意味がない。夫婦でやらなければ意味がない。でも、旦那(女房)があんな話し方だから・・・」などと言わないでください。
まず、自分からです。
誰も、自分から始めることしかできません。
相手から始めさせることは、決してできないのです。

そのうち、相手もいい影響を受けます。
あなたが変われば、家族も変わります。
Kちゃんによってクラスの子どもたちが変わったように。

ただ、時間はかかります。
なかなか自分を変えられなくて、やめたくなるときもあるでしょう。
相手へのいい影響も見られなくて、嫌になるときもあるでしょう。
「なんで自分だけが?!」と言いたくなるときもあるでしょう。

それは坂を上がるのと同じです。
坂を上がるのも自分を上げるのも、ともにたいへんなことなのです。
でも、上がりきれば、すばらしい景色が広がります。
そして、そこからいい循環が始まるのです。

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