入学に際しては、わが子の人間関係も親の最大関心事の一つです。
ほとんどの親は、うちの子は友達ができるのか、友達とうまくやっていけるのか、ひとりさみしく孤立するようなことはないか、嫌われるようなことはないか、いじめられるようなことはないかなど、いろいろと心配になるようです。

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ここがうまくいかないと、子どもは学校に行くのが嫌になります。
それがわかっているので、親としても大いに気になるのです。
同じ理由で、子どもを迎える先生にしてみても、これはまさに最大関心事です。
私自身の経験でもそうでしたが、これは勉強や生活習慣のことよりもはるかに気になるものなのです。

そして、この人間関係というものは、入学のときだけうまくいけばいいというものではありません。
その後の学校生活においても、またさらには人生全体においても、ずっとついて回るものでもあります。

では、人間関係をうまくやる力、つまり人間関係力(友達力)をつけるには、どうしたらいいのでしょうか?
それについては、まず、根本的に大切なことがあります。
それは、子どもがひとを信頼できるようにしてあげることです。
つまり、他者信頼感を持てるようにしてあげることです。

この大切さについては、私はいつもあちらこちらで繰り返し強調しています。
でも、本当に大切なことなので何度でも繰り返したいと思います。
入学準備というテーマにおいても、これを抜きにして書くことはできません。

では、どうすれば子どもがひとを信頼できるようになるのでしょう?
そのための第一歩は、子どもが親を信頼できるようにしてあげることです。
親を信頼できる子は、そのあとの人間関係を信頼をもとにつくっていくことができます。
親を信頼できない子は、そのあとの人間関係を不信をもとにつくることになります。

毎日子どもを叱ってばかりの親の場合、子どもは親を信頼できなくなります。
「また片づけてない。ダメじゃない」「なんで言われたことができないの?!だらしがない!」「ちゃんとあいさつしなさいって、いつも言ってるでしょ」「また忘れ物したの?情けない」
こういうことを毎日言われ続けると、子どもは自分に自信が持てなくなりますし、同時に親に対する信頼感も持てなくなります。

また、子どもへの共感的な気持ちが少ない親の場合も、子どもは親を信頼できなくなります。
たとえば、次のようなことが多いひとは気をつけてください。

・子どもの要求を、すぐ、わがままと決めつけてしまう。
・子どもの苦手なことに目をつぶったり許したりすることができなく、しつこく、また、きつくとがめ続けてしまう。

・子どもがなにか失敗したとき、子どもの悲しい気持ちに共感することなく「がんばりが足りないからだよ」と言ってしまう。
・子どもがなにか欲しいと言ったとき、子どもの欲しい気持ちに共感することなく、すぐ「ダメダメ」と門前払いしてしまう。

・子どもが習い事を辞めたいと言ったとき、子どもの気持ちを理解しようとつとめることなく、「ダメに決まってるでしょ」と言ってしまう。
・子どもが友達とけんかしたと言ったとき、子どもの愚痴に共感することなく、「あなたにもいけないことがあったでしょ」と言ってしまう。

・子どもが先生に叱られたと言ったとき、子どもの悲しい気持ちに共感することなく「そんなことじゃ、ダメでしょ」と言ってしまう。

このような、子どもへの共感的な気持ちが少ない親の場合、子どもは、「自分は受け入れられていない」「わかってもらえていない」「許されていない」「好かれていない」「愛されていない」と感じるようになります。
それは、つまり、親に対する信頼を持てなくなるということです。

つまり、「叱ることが多い親」と「子どもへの共感が少ない親」の場合、子どもは親への信頼を持てなくなるのです。
そうなると、そのあとのすべての人間関係を、不信をもとにつくることになってしまいます。

その反対に、「叱ることが少なくほめることが多い親」と「子どもへの共感が多い親」の場合、子どもは親への信頼を持てるようになります。
そういう子は、そのあとのすべての人間関係を、信頼をもとにつくれるようになります。

人間関係の土台に不信がある子は、たとえば、教室で誰かと肩がぶつかったとき、「なにすんだよ。やるのか!」と言ってしまうことになります。
人間関係の土台に信頼がある子は、そういうとき「ごめんね。だいじょうぶ?」と言えます。
たとえ自分に非がないときでも、そう言うことができるのです。
それは、ひとに対する信頼が土台にあるからです。

不信がある子は、なかなか自分の心を開くことができません。
信頼がある子は、心を開いて友達とつき合うことができます。

不信がある子は、友達のちょっとしたそぶりやひそひそ話に対しても被害妄想的に反応してしまいます。
信頼がある子は、そんなことはちっとも気にしません。

不信がある子は、少しでも仲良くなった子に執着して、つねに自分を一番の友達として認めさせたいという強い願いを持ちます。
それは、ひとを支配しコントロールしたいという気持ちにつながります。
信頼がある子は、過度に執着することはありません。

不信がある子は、「自分はみんなの中にいる」「ひとりぼっちではない」「大切にされている」「注目されている」「重んじられている」などの確証を求めます。
信頼がある子は、そういうことは求めないので、たとえ1人でいるときも焦りません。

不信がある子は、ひたすら自分が愛されることを求めます。
信頼がある子は、自分がひとを愛することを喜びます。

不信がある子は愛を求めます。
信頼がある子は愛を注ぎます。

このような違いは、人間関係の至るところに出てきます。
一緒に遊ぶとき、グループ活動をするとき、勉強するとき、給食を食べるとき、一緒に帰るとき、などなどです。

土台に信頼があるのと不信があるのとでは、そのあとの人間関係のつくりかたはまったく違ってきます。
この根本的に大切な土台がしっかりしていないと、いろいろな人間関係のスキルについて云々しても意味のないことです。

ですから、次のようなことが大切です。

・子どもを叱ることを減らして、ほめることを増やす。
・「○○しなきゃダメでしょ」「また○○してない」などの否定的な言い方をやめて、「○○するといいよ」「○○ができてきたね」などの肯定的な言い方にする

・子どもの苦手なことに目をつぶっ許してあげる。その分、いいところを伸ばす
・子どもの要求をわがままと決めつけないで、共感的に話を聞く。たとえ最終的には断ることになっても、まずは共感的に聞いてあげる。

・子どもがなにか失敗したとき、なにか欲しいと言ったとき、習い事を辞めたいと言ったとき、友達とけんかしたと言ったとき、先生に叱られたと言ったとき、とにかく子どもへの共感を大切にする

まとめると次の2つです。
1,子どもを叱ることを減らして、ほめることを増やす
2,子どもに共感する

これに心がけていれば、だいじょうぶです。
これによって、他者信頼感という、人間関係で一番大切な土台をつくることができます。