「うちの子、着替えるのが遅くて心配」という親御さんも多いと思います。
小学校では、週に2,3時間ある体育の授業と、1,2ヶ月に1度の身体測定のとき着替える必要があります。

7歳までに学力アップ!
↑↑↑↑↑
(本連載を一冊にまとめました)

最近は運動会を5月頃に行う学校が増えていますが、その前の1ヶ月間は体育の時間が多くなります。
夏場には水泳の授業もあり、そのときは水着に着替えることになります。

というわけで、自分で着替えたり脱いだものをたたんだりする練習が必要になります。
そのための方法をいくつか挙げますので、入学準備というだけでなく、入学してからの練習にも活用してください。

●着替え方やたたみ方を教えて、毎日ほめ続けよう

折を見て、子どもに服の着方、脱ぎ方、たたみ方を教えてください。
たたみ方は、難しいたたみ方でなく、その子にできる簡単なもので十分です。
教えると同時に、うまくできるための自分なりの工夫も大切にしてあげてください。

子どもが服を一生懸命たたんでいる姿や上手にたためた服の様子を写真に撮って、それをよく目につくところに貼っておくのもいい方法です。
それによって、服をたたむことを意識づけたり「自分は上手にたためるんだ」という自信を持たせたりすることができます。

とにかく、親は、毎日の着替えのときに上手にほめるようにしてください。
そうすれば、実際だんだん上手になっていきます。
とくに、たたみ方については、ほめ続けるか否かで大きな差が出てきます。

●パジャマでボタンの練習ができる

小学1年生でも、ボタンを留めたり外したりするのに時間がかかる子はけっこういます。
春や夏はTシャツなどボタンのない服が多いのであまり気がつきませんが、秋や冬になるとよくわかります。
そこで、ボタンの練習機会を増やすために、パジャマを利用するのもいい方法です。

ところで、みなさんは、子どもにどんなパジャマを着せていますか?

A:頭からすっぽりかぶるパジャマ
B:前をホックでとめるパジャマ
C:前をボタンでとめるパジャマ

ボタンの練習のためには、Cが効果的です。
これなら、毎日寝るときと起きるときの2回、ボタンの練習をすることができます。

そして、ボタンの練習によって指の筋肉と神経が鍛えられ、これによって手先が器用になるという効果もあります。

もちろん、子どもの実情を考えながら、ムリのないようにしてください。

●ストップオォッチやタイマーの活用で時間を意識させる

子どもが着替えて服をたたむのにかかる時間を、ストップオォッチで計るのもいい方法です。
親が「用意、ドン」と言ってストップオォッチを押してやれば、時間を意識して着替えるようになります。

そして、「7月21日:5分20秒」というように、かかった時間を表やカレンダーに記録していくと励みになります。
子どもは新記録が大好きですから、張り切ってやるはずです。

また、これは、算数の楽勉にもなります。
3年生になると、算数で分や秒という時間の単位を勉強します。
そこで「1時間=60分」や「1分=60秒」などを扱いますので、そのときの準備になるわけです。

ストップオォッチの代わりとして、タイマー、おもしろタイマー、砂時計、などを使って、時間切れになるまでにやり終えさせるという方法もあります。

●たたみ方の評価をすればたたみ方がうまくなる

以上のようにすることで、時間を意識させるができます。
でも、服のたたみ方がいい加減になる可能性があります。
その場合は、服のたたみ方が合格したときだけ記録を認める、というようにするという方法もあります。

不合格ならB、一応合格のたたみ方ならA、上手にたためたらAA、すごく上手にたためたらAAAなどにして、記録していくのもいいでしょう。
Aなどといわず、「普通、天才、大天才、超天才」にしてもいいですし、その子の好きなゲームやキャラクターを利用してもいいでしょう。

ときには、お父さんとどちらがたたむのが上手かということで、たたみっこ競争をするのも楽しいと思います。
ただし、兄弟姉妹でやる場合は、気をつける必要があります。
あまり勝ち負けにこだわりすぎたり、どちらかがずっと負け続けてひがんだり、などということがないようにする必要があります。

●水着に着替える練習も大切

水泳の授業に備えて、水着に着替える練習もしておくといいでしょう。
その際は、着替え用巻きタオルなど学校で使う用具を使って行います。

ときどき、着替えがうまくいかなくて水泳の授業を嫌がる子もいますので、それを予防する上でも必要です。

●親がやるべきこと、やってはいけないこと

いくつか具体的な方法を紹介しましたが、これ以外にもいろいろな工夫ができると思います。
大切なことは、方法を工夫して、子どもをほめながら楽しくやることです。
その子なりの小さな成長をほめて、自信を持たせてあげてください。

そして、何でもそうですが、これについても個人差が大きいということを頭に入れておいてください。
本やマニュアルの「○才までに○○」という情報と比べたり、他の子と比べたりしないことです。
「もうすぐ1年生なのに遅いね」とか「妹を見習いなさい」などの言葉は、絶対に厳禁です。

その子のオリジナルペースに合わせて、少しずつ進めることが大切です。
ムリにやるとストレスになりますし、自信もなくします。
それ以外にも、誰にもわからないところで何らかの副作用が出てきます。

●体育がある日は着替えやすい服にする

それでも、なかなか上手にならなくて心配という場合は、次のようなこともやってみてください。
これらは、入学してからのことです。

体育がある日は、とくに着替えやすい服にするといいでしょう。
子どもを見ていますと、着てくる服によって時間のかかり方がかなり違ってきます。
着替えのある日はボタンの多い服を避ける、ということがあってもいいのです。
とくに、女の子の服で後ろにボタンがある服は避けた方がいいでしょう。

●先生に伝える?伝えない?

子どもの着替えが遅いことを、先生にあらかじめ伝えておくという方法もあります。
そのとき、「家でも練習しているのですが・・・」の一言を付け加えておくといいでしょう。
この一言があれば、家でも努力していることがわかります。
そうすれば、先生も、「家でもがんばってるんだな。まあ、しょうがないか」という気持ちになって、あたたかい目で見てくれます。

ただし、これは、先生の人柄を見極めてからやってください。
「遅いことを伝えると、よけいガミガミ言われるかも」と感じる場合は、やめた方がいいわけです。

●結果を求めず過程を楽しもう

親としては、「なんでうちの子は不器用で下手なんだろう?」と感じることもあるとは思います。
でも、そういう姿もまた子どもならではのかわいさです。
そういう大らかな気持ちで、受け入れてあげてください。

親としてやるべきことを楽しみながらやれば、それでいいのです。
結果を求めすぎないで、過程を楽しんでください。

このことは、着替え、服のたたみ方、その他いろいろな入学準備に限らず、子どもとの付き合いのすべてにおいて頭に入れておいてください。

親野智可等のメルマガ
親野智可等の本
遊びながら楽しく勉強
親野智可等の講演
取材、執筆、お仕事のご依頼
親野智可等のお薦め
親野智可等のHP