入学準備ということで、ひらがなの読み書きについての質問をよく受けます。
つまり、「入学するとき、ひらがなの読み書きはどこまでできればいいのか?」という質問です。

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文科省の公式見解では、小学1年生に入学するとき、ひらがなの読み書きは一切できなくてもいいことになっています。
つまり、自分の名前の読み書きができなくてもいいわけです。
教科書もそれを前提に作られていて、授業もひらがなを教えるところから入ります。

でも、私は、少なくとも、自分の名前が書けて、ひらがなも全部読める状態にしておく方がいいと思います。
というのも、子どもの実状としては、入学するときにほとんどの子は自分の名前が書けますし、中にはひらがなを全部書ける子もいるからです。
そういう中で、自分の名前を書けない子は、やはり焦ってしまうということがあります。

それと、もう1つは、教科書や授業の進み方の問題もあります。
たしかに、教科書も授業も、子どもたちはひらがなを読めないという前提で始まります。
そして、1学期は、ひらがなの習得にかなりの時間をかけることができるようになっています。

でも、これが2学期になると、様相が一変します。
2学期になると、カタカナと漢字の勉強がほぼ同時に始まりますので、覚えることが増えるのです。
しかも、ひらがなにしても、1学期は「りす」などと書いていればよかったのが、「どっこいしょ」とか「しゃしょうさんはえきへもどりました」などという書き方も出てきます。
そして、これが3学期になると、「町で百円のワイシャツと千円のパイナップルを見ました」などという書き方も出てきます。

1年生を教えていて毎回感じていたのですが、2学期から急に覚えることが多くなり大変になるという実状があるのです。
そういう実状ですから、ひらがなについてまったく白紙の状態で入学してきた子は、はっきりいってついていくのが大変です。
というわけで、私は、少なくとも、自分の名前が書けて、ひらがなも全部読める状態にしておく方がいいと思うのです。

でも、ここで気をつけて欲しいことがあります。
それは、前回書いたように、親が焦ってせかすのではなく、子どものペースを尊重して進めるということです。
つまり、その子のペースに合わせてスモールステップで進めることが大事なのです。

そこで、私がおすすめするのが「楽勉」という考え方です。
楽勉とは、生活や遊びの中で楽しみながら知的な刺激をすることです。

この場合でしたら、ひらがな積み木、ひらがなカード、ひらがなカルタ、ひらがな型抜きパズル、などで、まずはたっぷり遊ばせることが大切です。
楽しいイラストに関連してひらがなを1つずつ読めるようになったり、ひらがな積み木やひらがなカードを並べて自分や家族の名前を表したり、ひらがな型抜きパズルでひらながの個々の形に親しんだりする時間がとても大切なのです。
遊びの1つとしてやれば、子どもは楽しみながらどんどんひらがなが読めるようになります。

ひらがなを楽々読めるようになった子どもは、次はひらがなを書きたくなるものです。
そうしたら、書く練習に入ることもできます。
子どもは喜んで書きますし、どんどん覚えます。
当然、親の方もたくさんほめることができます。
それで、子どもは、「ひらがなっておもしろい。勉強って楽しい」という気持ちと「自分はひらがなが得意だ」という自信を持つことができるのです。

ところが、これとは違うまずい進め方をしてしまう親もけっこういるのです。
雑誌の記事やママ友達・パパ友達の話などをきっかけに、ひらがなを「教えよう」と急に思い立ってやる場合はそうなりがちです。
その場合、よくあるのが、ひらがなのワークブックでいきなりひらがなを書かせるところから入るというやり方です。

ひらがなで楽しく遊んで楽々読めるようにする段階をすっ飛ばして、読むのと書くのを同時に「教えよう」としてしまうのです。
スモールステップどころか、子どもにとっては突然の高いハードルです。
しかも、親が焦っていると「なんで書けないの?」と叱ってしまうことも多くなります。
そうすると、子どもは、「ひらがなってつまらない。勉強って大変」という気持ちと「自分はひらがなが苦手みたいだ」という苦手意識を持つことになってしまうのです。

私は、本当は、幼稚園や保育園でひらがなを読めるようにする取り組みが必要だと思います。
もちろん、遊びを通してです。
現状では、幼稚園や保育園では一切ひらがなに触れず、小学1年生で読み方と書き方を一気に教えるという進め方が原則になっています。
このような「読み書き同時学習」は、子どもの負担をいたずらに大きくするだけの極めて不合理な方法です。

まず楽々読めるようにしておいて、その後で書く練習をする方がはるかに合理的です。
この方がスモールステップですから、子どもの負担も少なくて済みます。
つまり、この方が余裕を持って楽しみながら進めのです。

それに、書く練習をするときも、このような「読み先習」の方が「読み書き同時学習」よりもはるかに習得率も高くなります。
つまり、既に楽々読めるようになっている文字なら、書く練習をしたときもすぐに覚えることができるのです。
もちろん、ひらがなだけでなく、カタカナや漢字についても同じです。
これらの事実は、既に科学的に明らかになっていることです。

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