自分で起きない子を起こしていると、いつまでも起きるようにならない。
片づけができないのをやってあげていると、いつまでもできるようにならない。
自立ができない。
このような話が子育ての本によく出てきます。
でも、本当はそんなことはありません。
こういう話は迷信です。
しかも、実に罪深いです。
この迷信のせいで、親たちは子どもができないことを手伝ったり、やってあげたりすることができなくなっています。
たとえやってあげるにしても、叱りながらでないとできないのです。
そのせいで、多くの親と子どもが不必要に苦しんでいます。
もちろん、子どもが苦手なことは、できるように工夫してあげることが大切です。
片づけが苦手なら、ワンタッチ収納、ラベリング、片づけタイムなどです。
でも、それでもできないことは多々あります。
親子ともどもどうしようもないときがあるのです。
そういうときどうするかが大事です。
そういうとき、ほとんどの親は、「また○○してない。ダメでしょ」と否定的に叱ります。
それで、子どもはますます苦手意識が高まり、よけいできなくなります。
否定的な言葉を浴び続けることで、「自分はダメな子だ」と思うようになり、「自分は愛されていないのかも」という愛情不足感を持ちます。
こういう負の連鎖で、ますますがんばる気力がなくなります。
こんなことになるくらいなら、やってあげた方がよほどマシです。
どうしてもできないときはやってあげて、たまにちょっとでもできたらほめて、少しずつ手を離していけばいいのです。
もちろん、自分でやろうとしているのに時間がかかっているだけというときは、待ってあげて自分でやらせてあげてください。
そのうちに子どもも成長して、だんだんできるようになります。
子どもには自然成長というものがありますから、時間が解決してくれることも多いのです。
できないことを叱り続ける親よりも、いちいち叱らず気持ちよくやってくれる親の方が、かえって子どもはできるようになります。
「やってあげると自立ができない」などと言って、子育てを不必要に苦しいものにするのは、もうやめようではありませんか!
初出『聖教新聞』(2012年3月23日から連載)
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