多くの子どもは、本を読んでいろいろ感じてはいても、それを言葉で表現するのが苦手です。
ですから、読み終わっていきなり原稿用紙に向かうと、何も書けずに固まってしまうということになりがちです。

そこで、読書感想文を書く前に、その本について親子でおしゃべりすることをお薦めしたいと思います。

そのおしゃべりの中で、親が上手に質問することで、それまで言葉に出てこなかった部分を引き出してあげることができます。

そのために、とっておきの7つの質問があります。

1,どんな人が出てきた?
2,その人についてどう思う?
3,本を読んでどう思った?
4,心に残った場面や言葉はある?
5,作者は何を一番言いたいのかな?
6,自分にも似たようなことがある?自分ならどうする?
7,作者や登場人物に、どんなことを言ってあげたい?

この7つの質問は、読書感想文の内容を膨らませるのにとても効果的です。

ただ、子どもによっては、何か聞いたとき短いひと言で終わってしまうこともあると思います。
そういうときは、そのひと言に共感してから、もう一歩踏み込んで聞いてみるといいでしょう。

例えば、「本を読んでどう思った?」と聞いたとき、子どもが「おもしろかった」と答えたら、「そうだね。おもしろかったよね」と共感してから、「どこが、どういうふうにおもしろかった?」とか「一番おもしろかったのはどんなところ?」などと聞いてみるのです。

すると、「かんちゃんが怒って投げ返したボールが、壁に2回当たって戻ってきたところ。ぼくも怒って靴を投げたらほうきに当たってほうきが飛んできた」などと、膨らませて答えてくれることがあります。

テレビのリポーターがインタビューするときのように、臨機応変に補助的な質問をしてみましょう。

ただし、あまりしつこくすると、子どもはすぐ嫌になってしまいますので気をつけてください。

このようにおしゃべりしながら、子どもが話したことを親がメモしておくといいでしょう。
例えば、葉書大くらいのメモやカードにワンテーマ1枚でメモしていきます。
そうしておくと、後でそれらを並べて、編集作業をすることができます。

例えば次のような編集ができます。

1,感想文に書くものと書かないものを選り分ける
2,一番詳しく書く内容を選ぶ
3,さらに書き加える
4,書く順番に並べる

このようにして、書く内容が膨らみ、書く順番も決まってくれば、後は実際に読書感想文を書くだけです。

さて、注意点ですが、大切なのは親子で楽しくおしゃべりする雰囲気の中でおこなうということです。
ときには親自身の考えを話してあげて、親子で盛り上がるのもいいですね。

子どもが気の利いたことを言えないからと言って、追い詰めたり叱ったりしないでください。
そういうことをしていると、感想文だけでなく読書そのものが嫌いになってしまいます。

口べたで言えない子には、親が代弁してあげればいいと思います。

また、こういうことが苦手な子の場合、いい作品にしようなどとは決して思わず、「まあ、一応できればいいや」くらいのラクな気持ちで臨んでください。

なにも苦手な読書感想文で伸ばさなくても、もっと得意なところで伸ばしてあげれば大丈夫です。


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