●質問者の子ども:中学二年生・女子
 

●質問

中学二年生の娘がスマホ中毒です。

友だちとのLINEにしばられ、ずっとやっています。

他にも、ゲーム、ツイッター、動画などに時間を取られ、勉強もしないので成績も心配です。

いじめや犯罪も心配です。


●回答
 
この問題について親がよくやりがちなのが、叱ったり一方的なルールを押しつけたりすることです。

でも、これではかえって子どもの反発を招くだけです。

 

そもそも、子どもは、自分の気持ちや大変さについて親は何もわかってくれないと感じています。

ですから、言うことなど聞く気になれないのです。

 

親は親で、こっちがこれだけ心配しているのに子どもは何も言うことを聞かないと感じています。

つまり、お互いのコミュニケーションが圧倒的に不足しているのです。

 

ですから、まずは子どもの話を共感的に聞いてあげてください。

上から目線で批判的に聞いていると、子どもは何も言わなくなります。

 

親が共感的に聞いてくれれば、子どもは「みんなやってるからやらないわけにいかない」などの本音をたっぷり言えます。

そして、自分の気持ちをわかってくれた親を信頼するようになります。

 

次に、親もやり過ぎの弊害、いじめ、犯罪などについて心配していることを誠実に話します。

はじめに共感的に聞いてあげていると、子どもも親の話を共感的に聞いてくれます。

 

お互いが本音を語り合ったら、次に約束を決めます。

自分の気持ちをわかってもらえたと感じていれば、子どもも乗ってきます。

なぜなら、野放しでいいとは思っていないからです。

 

この約束作りでも、上から目線で一方的に決めるのではなく、話し合い・交渉をしながら決めることが大切です。

 

着地点を見つけるためには譲り合いも必要です。

このように約束作りに関わることで、子どもも守ろうという気持ちが高まります。

 

約束の列を挙げます。

 

フィルタリングを解除しない。

セキュリティソフトの導入と更新。

OSの更新。充電器はリビングに置く。

○時には充電器にセット。

自分の部屋でやらない。

食事中はやらない。

知らない人とやり取りしない。

個人情報は書かない。

陰口やいじめはしない。

○円以上はやらない。

困ったことがあったらすぐ言う。

親子で話を聞き合う。

 

決まったことはホワイトボードなどに明文化して、忘れないようにします。

次に大事なのは毎日の見届けで、守れていたらほめ、守れていなかったら注意します。

 

1週間守れたら日曜日は少し余分にやっていいとか、守れなかったら半日やれないなどのアメとムチもいいかも知れません。

 

いざやってみると現実的でなかった、という約束が出てくることもあります。

その場合は、また話し合って決め直します。

 

ところで、ネットなどの出会い系サイトの被害者になる子は、みんな「自分の話をよく聞いてくれる相手が欲しかった」と言うそうです。

 

スマホのことに限らず、日ごろから親が子どもの話を共感的に聞いてあげていないと、子どもは危険を冒してでも共感的に聞いてくれる相手を求めるのです。

 

初出『やくしん』2015年1月号(佼成出版社)


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