地理が得意になれば、社会科のすべての勉強にとてもいい影響が出ます。


というのも、地理は社会科のすべての分野に大きくかかわっているからです。

 

たとえば、5年生の社会科では、農業、水産業、工業、通信などの産業や、公害、環境、日本の地理的特徴などの勉強をします。

そこでは、「高知県の海浜地帯のビニールハウスで・・・」「福岡県苅田町(かんだまち)の自動車工場では・・・」「熊本県と鹿児島県の水俣病患者は・・・」などの勉強が出てきます。

 

6年生では歴史、政治、経済、国際理解などの勉強をします。

そこでは、「北条時宗は、元軍と戦うために福岡県の博多湾に防塁を築き・・・」「「成田からソウルまで2.5時間で香港まで4.5時間・・・」「ユニセフでは、中東地域の子どもたちに・・・」などの勉強が出てきます。

 

3,4年生の社会では、自分の市町村や県の生活や社会の様子、産業、歴史、地理的特徴などを勉強します。

そこでは、自分の市町村や県の地理に関する勉強がどんどん出てきます。

たとえば、「私たちの柳川市では、クリークを生かした町づくりを・・・」「相模湾に面した小田原市の東には曽我丘陵が・・・」などの勉強です。

 

このように、地理は社会系科目の土台なのです。

それは、数学が理数系科目の土台であるのと同じです。

 

では、地理が得意になるにはどうすればいいのでしょう?

一番いいのは、地図帳に親しむ機会を増やすことです。

というのも、地図帳には地理にかかわるすべてが出ているからです。

 

たとえば、次のようなことです。

地名(国名、県名、市町村名、名所、旧跡)、地理的特徴(大陸、島、海、半島、湾、湖、河川、平地、山地、山脈、台地、盆地、海流)、気候的特徴(気候区分、気象、気温、降水量、環境 )、交通網(飛行場、鉄道、道路)、産業(工業地帯、農業地帯、水産業施設、特産物)

 

というわけで、地図帳に親しむことで地理が得意になるのですが、では、地図帳に親しむとはどうすることなのでしょうか?

 

それについて、私はちょっとおもしろい体験をしました。

先日、本屋で中学生用の地理の参考書を見ていたら、「地理の勉強は地図に始まり地図に終わる。社会の勉強の中で地名、山、河、工業地帯などが出てきたら、すぐ地図帳で確認するする習慣をつけよう」といったことが書かれていました。

 

なるほどと思って、高校生用の地理の参考書も見てみたら、ほとんど同じことが書かれていました。

まったく違う出版社の本で、しかも書いたひとも違うのに、言っていることはまったく同じでした。

 

ということは、これは地理の勉強の基本として常識になっているのです。

でも、本当は、これをさらに一歩進めるといいと思います。

つまり、「社会の勉強の中で・・・」ではなく、「生活の中で・・・」にするといいと思うわけです。

 

「社会の勉強の中」だけでやるより、「生活の中」でやったほうが地図帳に親しむ機会がなん倍にもなるからです。

 

やりかたは、とても簡単です。

家族との会話で地理に関することが出てきたら、すぐに地図帳で調べます。

そして、マーカーやボールペンなどでしるしをつけます。

お父さんが出張するところ、お母さんが生まれたところ、おばあさんが旅行に行くところ、親戚が住んでいるところ、など、機会はいくらでもあります。

 

家に郵便物や宅配便が来たら、その差し出し住所を地図で調べるのもおもしろいです。

とくに、お中元やお歳暮などは各地の特産物が多いので、地理の勉強としては絶好の機会です。

夕張メロンをもらったとき夕張を調べれば、そこにはちゃんとメロンのイラストが出ています。

おいしいメロン、メロンの包装紙にあった北海道や夕張の絵地図、地図帳のメロンのイラスト、これらが結びついて、かなり定着のいい記憶になります。

五感とまではいきませんが四感くらいは使っていますから、定着がよくなるのです。

 

子どもが好きなこと、興味があること、熱中していること、これらを地図帳に親しむきっかけにすることもできます。

たとえば、コーカサスオオカブトがスマトラ島に生息しているとわかれば、スマトラ島を探してしるしをつけます。

そこにコーカサスオオカブトのイラストが描いてあればそれもしるしをつけますし、もしなければ、ボールペンで「コーカサスオオカブト」と書き込んでしるしをつけます。

 

野球が好きなら、野球チームの所在地、有名選手の出身地や出身校です。

マンガが好きなら、マンガに出てきた地名や有名マンガ家の出身地です。

芸能界が好きなら、芸能人、アイドル、お笑いタレントの出身地です。

 

日々の新聞には、地理に関することが、とてもよく出てきます。

「北海道のオホーツク沿岸で流氷が・・・」「長野県軽井沢町のリゾートホテルで環境セミナーが・・・」などという記事は、いくらでもあります。

 

いま私の手元にある新聞には、「平均気温22度、涼風の上高地と雲上の乗鞍スカイライン!」という広告が出ていて、上高地と乗鞍岳の写真も出ています。

このような旅行の広告は地理の勉強には最適です。

 

新聞の旅行広告よりもさらにいいのは、折り込みチラシの旅行広告です。

各地の名所や地理的特徴のある場所が、カラー写真でたくさん紹介されています。

しかも、絵地図や旅程表も出ています。

その土地の様子を想像しながら、旅程表に従って経路をマーカーでなぞっていくのも楽しいものです。

これをやると、鉄道網、道路網、航空網、航路網もわかるようになり、かなりの地理通になれます。

 

旅行会社の広告やチラシよりもさらにオススメなのが、観光旅行のパンフレットです。

カラー写真や絵地図もさらに多く出ていますし、旅程表もさらに詳しく出ているからです。

 

雑誌、本、図鑑などにも、地理に関することがよく出てきます。

動物図鑑、昆虫図鑑、魚図鑑、植物図鑑、環境図鑑、どの図鑑にも、地理的情報がたくさん出ています。

主にその動物や昆虫や魚が住んでいるところ、植物が生えているところなどです。

研究施設がある場所が出ていることもあります。

 

子どもの教科書にも、地理に関することがよく出てきます。

社会の教科書には、たくさん出てきます。

これを、地図帳で調べてしるしをつけるだけでも、かなりいい勉強になります。

 

さすがに算数にはほとんど出てきませんが、理科や国語の教科書には少し出てきます。

地層のあるところ、植林しているところ、作家の出身地、物語の舞台になった土地、などです。

 

地理図鑑、地理絵本、地理カルタなどには、当然ながらたくさん出てきます。

これらに出てくるところを地図帳で調べてしるしをつけるのは、ものすごくいい地理の勉強になります。

もともとこれらのものには地理に関する大切な情報を載せてあるのですから、当然です。

ですから、地理図鑑、地理絵本、地理カルタなどに親しむだけでなく、さらにそれを地図で調べてしるしをつけるところまでやるといいでしょう。

 

普段見るテレビにも、地理に関することがよく出てきます。

テレビを見ていて、リポーターが「私は今鳥取砂丘に来ています。見渡す限りの砂丘、そしてその向こうに日本海が広がっています」と言ったとします。

そしたら、すぐに鳥取砂丘を調べてしるしをつけます。

ついでによく見ると、いろいろなことがわかります。

一口に鳥取砂丘といっても湖山砂丘と浜坂砂丘と福部砂丘の3つに分かれていること、砂丘の真ん中に河があること、近くに研究センターがあることなどです。

 

スーパーマーケットにある食品の生産地を、地図帳で調べるのもオススメです。

山形のサクランボ、信州の味噌、フィリピンのバナナ、アメリカのアーモンド、などなど、世界中の食品が揃っています。

野菜や生ものは近隣市町村からのものが多いので、県や市町村を扱う3,4年生の社会の勉強に最適です。

(テレビとスーパーマーケットについては、国際理解のところで詳しく書いた通りです)

 

先に、旅行会社の広告やチラシのことを書いたとき、1つ書き忘れたことがありました。

これらよりもさらにオススメなのがあります。

それは、観光旅行のパンフレットや旅行ガイドです。

カラー写真や絵地図もさらに多く出ていますし、旅程表もいろいろな案内もさらに詳しく出ているからです。

大人の中には、旅行のパンフレットを見て旅行に行った気分に浸るひともいるくらいです。

 

ところで、ここまで、家の中でできることを書いてきましたが、実際に旅行に行くとき地図帳を持っていくのは最高にいい方法です。

つまり、自分たちが通った経路をマーカーでなぞっていくのです。

もちろん、運転中のドライバーがやってはいけませんよ。

こういうのは、子どもに悪い見本です。

 

地図と実際の風景と比べながら旅行するのは、とても楽しいものです。

田園地帯を通っているとき地図を見れば、そこがちゃんと緑色で塗られています。

山地は薄茶色、市街地は黄色などになっていて、みょうに感心します。

また、地図を見ていると、「もうすぐ淀川を渡る」とか「もうすぐ海が見えるはず」などと予想することができます。

それで、実際その通りになると、当たり前とは思いながらもうれしいものです。

 

また、地図を見ていると、実際には見られなくても「この近くに○○貝塚がある」とか「この近くに彦根城がある」などとわかるのもうれしいものです。

 

このように、実際の土地の様子と地図帳を比べながら旅行するのは、とても楽しいことです。

しかも、地理の勉強としても最高です。

 

ですから、ぜひ、やってみてください。

まず親が楽しそうにやって、子どもが興味を示したらやらせてあげます。

ただし、子どもが乗り気でないならやめましょう。

大人が自分で楽しめばいいのです。

そうすれば、そのうち子どもも興味を持つかも知れません。

無理にやらせると、嫌いになるだけです。

それに、せっかくの旅行が台無しです。

 

というわけで、地図帳に親しむ方法をいろいろと紹介しました。

要は、地理に関するすべてを地図帳に結びつけることです。

地図帳にいろいろなしるしや書き込みが増えてくると、本当に楽しいものです。

そして、それを見るたびにおさらいができて地理の知識が定着していきます。

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