突然ですが、みなさんに問題を出させていただきます。


「晴れの日と曇りや雨の日では、一日の気温変化の様子はどのように違いますか?」

 

この問題に、はっきり答えられますか?

実は、これは、理科の「天気の変化」でやる勉強です。

 

この勉強では、先ほどの問題への答えを出すために、一日の気温変化を子どもたち自身が観測します。

午前九時くらいから午後四時くらいまで、一時間毎に校舎の外に出て気温をはかるのです。それと同時に、その時の天気も記録します。

 

そして、それをグラフ化して、晴れの日、曇りの日、雨の日の三パターンで、気温の変化の仕方がどのように違うかを比べるのです。

 

ところで、みなさんは、先ほどの問題の答えが分かりましたか?

そうです、晴れの日は午後一時から二時くらいにかけて一番気温が高くなりますね。

でも、曇りや雨の日はほとんどずっと同じくらいの気温です。

 

これは、大人にとっては常識ですが、子どもたちにとっては必ずしもそうではありません。

なんとなく、薄々と感じてはいるのですが、はっきりとは知りません。

自分自身の観測を通してこれを分からせるのが、この勉強の一番のポイントです。

 

ところで、授業をする教師の側からすると、これは実はなかなか大変な勉強なのです。

何が大変かというと、まず、一時間毎に外に出て観測するのが大変です。

一日中理科をやっているわけではないので、算数の途中だったり図工の途中だったりします。

休み時間だったり給食の片づけの途中だったりもします。

ですから、その度に、やっていることを中断しなければなりません。

 

観測時刻の十分前くらいになると、子どもたちがそわそわし始めます。

そして、四十人ほどの子どもたち全員が観測時刻に間に合うように、最低五分前くらいには教室を出ます。

気温を測って帰ってきて、全員が表やグラフに記録し終わるまでに1五分はかかります。「それでは算数の勉強に戻ろうか」というところで、終わりのチャイムが鳴ったりします。

 

しかも、観測するのは午前九時から午後四時までですから、これを八回もやらなければならないのです。

ですから、この日は、一日中落ち着かない感じで過ごすことになってしまうのです。

私は、少しでも負担を軽くしようと、十時から三時というように回数を減らしてやったこともあります。

 

さらに、晴れの日と曇りの日と雨の日の気温変化の違いを比べるためには、この三種類の日にそれぞれ観測しなければならないわけです。

これがまた簡単なことではありません。

 

晴れの日の記録は取れたとしても、次の日に都合よく別の天気にはなってくれません。

延々と雨の日を待つということもあります。

「やった、今日は雨だ」と思って子どもたちと観測を始めたら、お昼頃から晴れてきてしまったなどということもありました。

 

  まさにお天気任せの勉強で、教師としてはなかなか大変です。

でも、子どもたちは喜んで取り組んでくれます。

一人一人が温度計を持って自分で気温を測り、表に記録し、グラフ化していくという一連の作業が、新鮮で楽しいようです。

ある子が「科学者になったみたい」と言ったことがあったほどです。

 

実際には、教科書に三パターンのグラフが既に載っています。

でも、子どもたちは、自分自身で観測して作ったグラフが教科書と同じようにできあがってくると、とても喜びます。

そして、晴れの日と曇りや雨の日のグラフを見て気が付いたことを、興奮しながら発表してくれます。

 

私は、子どもたちのそのような姿をたびたび見て思いました。

何らかの器具を使って自然現象を観測し、それを数字で表し、表やグラフにし、そこから何かを発見することは、人間にとって純粋な喜びなのだと。

これが、科学するということなのだと。

もっともっとこのような観測をたくさんやらせてやったら、理科が好きになるだろうなと。

  そこで、私は家庭でもこのような気温変化の観測をしてみることをおすすめします。例えば、次のようなことが考えられます。

 

まず一つ目として、学校でやったのと同じ観測を、休日などに親子でやってみるといいでしょう。

大人は、学校でやったのと同じ観測を家でやっても、子どもがのってくるはずがないと思うかもしれません。

 

でも、実は、そうでもないのです。

学校とはいろいろな条件が違うので、子どもたちは新しい気持ちでけっこう楽しんで取り組めるのです。

違う発見をすれば喜びますし、同じような結果が出ても、それはそれでまたうれしいのです。

 

または、学校でやる前にやっておくというのもいいでしょう。

そうすれば、学校でやるときに大活躍できること請け合いです。

その際には、親があらかじめ子どもの教科書に目を通しておくといいと思います。

そうすれば、観測するときのポイントなどが分かります。

それを子どもに教えながらやれば、親としての面目躍如ということになります。

 

教科書には、だいたい次のようなことがポイントとして書かれています。

 

・気温は、風通しのよい日陰ではかる。

または、自分の体などで日陰にしてはかってもよい。

とにかく、温度計に直射日光を当てないこと

 

・温度計が地面から一.二~一.五メートルのところにくるようにしてはかる

 

・見える空全体の広さを十として、雲が空をおおっている広さがゼロ~八なら晴れという。九~十なら曇りという

 

この三つは、お天気観測の基本的なポイントです。

これを親が子どもに分かりやすく説明してやるといいですね。

親を見る目が、少し変わるかもしれません。

 

二つ目としては、その観測をするときに、太陽の高度と地面の温度も観測してグラフ化してみるといいと思います。

この観測は、教科書では、必ずやるべきものとしての扱いではなく、発展的な学習という扱いになっているものです。

 

ですから、学校では実際に観測しないで教科書を読むだけにとどめる可能性が高いと思います。

というのも、これは、ただの気温の観測よりもはるかに手間がかかるからです。

 

そこで、この観測を親子でやってみることをおすすめします。

実際に親子で観測しながらうまく導いてやれば、次のようなことを子どもが自分自身で発見することもできます。

そうすれば、ますます理科への興味が高まるはずです。

 

・太陽の高度が一番高い十二時に、地面の温度も一番高くなる

 

・気温はそれより二時間遅れて一番高くなる。

それは、地面が温まることで空気も温かくなるからである

 

三つ目としては、毎日決まった時刻に気温を測り、一年間続けるという観測をしてみるといいと思います。

たとえば、毎朝七時と決めてやるのです。

これにかかる時間は毎日一分です。

 

これを三百六十五日続ければ、一年間の気温変化の仕方を自分で実際に観測するという得難い経験をすることができます。

毎朝が無理なら、毎日曜日の朝七時ということでも十分です。

 

このような身近な自然現象の観測を、ぜひ親子でやってみてください。

このような観測自体には難しい思考が必要ないので、子どもにとってハードルが低いのです。

ですから、親がうまくリードしてやれば必ずのってきます。

親子の触れ合いという面でも、とてもいいと思います。

 

どうしても、現状では、観測と実験の経験が少なくなりがちです。

十分な経験がないところに、既成の観測記録やグラフだけを見せられて、何か気付いたことを言いなさいなどとやられると、子どもは理科が嫌いになってしまいます。

 

みなさんには、ぜひ、親力を発揮して、子どもに豊かな経験をさせてやってほしいと思います。

観測と実験をたくさんやっている子は、間違いなく理科が好きになります。

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