みなさんのお子さんは算数が得意ですか?
それとも、苦手ですか?


私の実感だと、親たちが一番子どもにできるようになってほしいと願っているのは算数です。

 
試しに、「あなたの子どもにできるようになってもらいたい教科はなんですか?」というようなアンケートをとると、一番多い答えはいつも算数です。
 

では、算数ができるようにするには、どうしたらいいのでしょうか?


私は、その1つの答えとして、九九の完全制覇をあげたいと思います。
 

算数が苦手な子は、一人の例外もなく九九が苦手です。
九九が苦手で算数が得意ということは、絶対にあり得ません。

 
九九が不完全だと、算数を勉強していく上で、大きなハンディキャップを背負うことになります。
九九の完全制覇は、算数を勉強していく上での最優先課題です。
 

そう言うと、みなさんの中には「うちの子は九九を全部言えるのに、算数は苦手だよ」と思う人もいるでしょう。
でも、「九九を全部言える」ことと「九九を完全制覇する」こととは、全くレベルの違うことなのです。

 
九九を完全制覇するということは、「二一が2(にいちがに)、二二が4(ににんがし)・・・」から始まって「九九 81(くくはちじゅういち)」までをスラスラ言えるということだけではありません。
これは、ただ「上がり九九」が言えるようになったというだけのことです。

 
九九を完全制覇するということは、バラバラに出された九九の問題に瞬時に答えられるということなのです。


例えば、「七四?」「28!」、「八七?」「56!」「三七?」「21!」・・・などのようにです。
これを完全バラバラ九九といいます。
 

これに瞬時に答えられるようにしなければなりません。
瞬時とは、一瞬のとまどいもないということです。

 
私は、そのために2年生の子どもたちを徹底的に鍛えました。
まず、第1段階として「段毎バラバラ九九80問プリント」を繰り返し繰り返しやらせました。

 
このプリントでは、例えば「2の段」のところには、「2×7= 」「2×0= 」「2×5= 」というように、2の段の九九がバラバラに出てきます。
でも、「2×7= 」の次に「8×4= 」などという別の段の九九が出てくることはありません。
 

そして、やるときには、必ずストップウォッチでタイムを計りました。
今は100円ショップでストップウォッチを売っているので、宿題でやるときにも計ってもらうようにしました。
 

2ヶ月取り組んだ結果、次のような成果を得ることができました。

 
1分台  1人から27人に増加
2分台  1人から3人に増加
3分台  4人から1人に減少
4分台  11人から2人に減少
5分台  2人から6人に増加
6分台  6人から0人に減少
7分台  1人から0人に減少
8分台  0人から0人に
9分台  1人から0人に減少
10分台 2人から0人に減少
11分台 2人から0人に減少
12分台 0人から0人に
13分台 1人から0人に減少
14分台 0人から0人に
15分台 2人から0人に減少


これは、私にとって驚くべき成果でした。


初めて80問プリントをやったときには、1分台の子が1人しかいなかったのに、2ヶ月後にはクラスの大半の27人が1分台になったのですから。
15分もかかっていた2人の子が、2ヶ月後には4分台でできるようになったのですから。

 
そして、次の第2段階として、「完全バラバラ九九80問プリント」に取り組みました。


このプリントでは、2の段から9の段までの九九が、完全にバラバラの順番で出てきます。
 

こちらも、わずか1ヶ月で、次のような大きな成果を得ることができました。 

 
1分台  3人から23人に増加
2分台  11人から6人に減少
3分台  9人から1人に減少
4分台  5人から2人に減少
5分台  2人から0人に減少
6分台  2人から1人に減少
7分台    0人から0人
8分台  0人から0人
9分台  0人から0人
10分台 0人から0人
11分台 1人から0人に減少


これも、私にとって驚くべき成果でした。


わずか1ヶ月でこれほど伸びるとは全く思ってもいなかったのです。
 

ところで、最初の方で、私は、「瞬時に答えられるようにしなければなりません。瞬時とは、一瞬のとまどいもないということです」と書きました。


今、ここで、それをもっと具体的に言うと、この「完全バラバラ九九80問プリント」を1分台でできるということなのです。
 

1分台でできる子たちを見ていると、1問目から始めて80問目が終わるまで、ただの一度も鉛筆の動きが止まることはありません。


一瞬も躊躇することなく、一気にやり終えます。
これが瞬時に答えられるということなのです。


ここまで習熟させておくと、その後の算数の勉強がとても楽になります。


なぜなら、3年生以上の算数では、九九の応用といえるものが非常に多いからです。
というより、ほとんどがそうだと言ってもいいくらいです。
 

例えば、3年生では「59×3」とか「2415×3」などの筆算や、さらに「46×97」などの複雑な筆算もやります。
そして、「72÷8」などのわり算を、さらに、「55÷8」などのあまりのあるわり算もやります。

 
4年生では、「393÷48」などの2桁で割るわり算をやります。


実は、これがとても難しいのです。
ここでつまずいて算数に苦手意識を持つ子が急激に増えます。
これは、小学校の算数の最大の難関の1つです。

 
では、なぜ難しいかというと、そもそも393の中に48がいくつ入りそうかを予想して、仮の「商」を見つけるのが難しいからです。

 
仮の「商」を見つけるためには、「48×2」「48×3」・・・「48×9」などの計算をいちいち筆算でやらなくても、だいたいの「積」の予想がつくことが必要です。
 

そのためには、「2桁×1桁」の計算が、かなりの程度頭の中の暗算でできるようになっていなければなりません。
これをいちいち全て筆算でやらなければならいというのでは、とても間に合わないのです。


この「2桁×1桁」の暗算のためには、九九の完全制覇が絶対に必要なのです。
 

5年生では、小数のかけ算とわり算や割合などで、九九が必要です。
また、「5/7を小数にしなさい」などという問題でも、九九が必要です。
 

6年生では、「12と18の最小公倍数」や「28と32の最大公約数」を求める問題で九九が必要です。
また、「30/42の約分」などという問題でも、最大公約数が6とパッと分かることが必要です。

 
「4/9+7/12」などという問題では、通分が必要です。
そのためには、分母の9と12の最小公倍数は36とすぐ分かることが必要です。 
「3/4×8/9×3/2」や「7/9÷5/12」などの分数の計算でも、九九が必要です。

 
比の勉強の「□:125=3:5」の□を求める問題でも九九が必要です。
比例の勉強の「紙の厚さが1cmで107枚なら12cmで何枚?」などの問題でも九九が必要です。

 
しつこいくらいに九九の必要なところを挙げてきましたが、これでもほんの一部です。
しかも、これらは全て小学校でのことです。


中学、高校と進むに連れて、ますます必要になってくるのです。
 

ところで、よく、「そういう単純計算だけではなく、もっと数学的な思考力や応用力を養う勉強が必要だ」と言う人がいます。
「単純計算だけを鍛えても、本当の力は付かない」と言う人もいます。
 

でも、私が23年間教えてきた実感で言えば、このような九九も含めた単純計算の力が不十分な子が圧倒的に多いのです。


ここが不十分なままで、数学的な思考力や応用力を伸ばすことなどできるはずがありません。

 
さらに言えば、これも私の実感ですが、単純計算が速い子ほど数学的な思考力や応用力もあることが多いのです。


ときどき、単純計算は速いけど数学的な思考力や応用力は弱いという子もいることはいますので、完全にそうだとは言いません。
でも、ほとんどの場合はイコールなのです。

 
それに、この逆はあり得ないということも言っておきたいと思います。
つまり、単純計算はできないのに数学的な思考力や応用力には優れているという子は絶対にいないということです。
そういうことはあり得ないのです。

 
このようなわけで、私は、これをお読みのみなさんにおすすめします。
算数ができるようにしてやりたいなら、九九の完全制覇に親子で取り組んでください。

 
私がやったようなプリントでもいいですし、百ます計算でもいいのです。
タイムを計ってやれば、子どもは燃えます。
丸つけもしてやって点数もつけてやってください。
その2つを毎回記録してやってください。


タイムで新記録が出たら、大いにほめてやってください。
子どもはどんどん自信をつけていきます。

 
ときには、親子でタイムバトルをしてみてください。
参観日にやったら、2年生の子で親に勝つ子もいました。
鍛えれば、子どもはどんどん伸びるのです。

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