「五時のチャイムで帰ってこなきゃダメでしょ。何度言ったら守れるの!」「意地悪しちゃダメでしょ。お兄ちゃんなのに、なんでもっと優しくできないの!」


つい、このような言い方になってしまう人も多いと思います。

でも、このような責めたり咎めたりする言い方だと、相手の心を動かすことはできません。

 

大人でも子どもでもそうですが、人に何か言われたとき、その言い方の中にほんのちょっとでも自分への非難があると感じると、その瞬間に心の窓が閉じてしまいます。

すると、頭ではそれが正しいとわかっても素直に聞く気になれなくなります。

 

そこで、言い方を次のように変えたらどうでしょうか?

 

「五時のチャイムで帰ってきてくれないと、お母さん心配でたまらないわ」「五時のチャイムで帰ってきてくれると、お母さん安心するわ」「兄弟仲よく遊んでるとお父さんもうれしくなるよ」

 

これらの言い方には、相手を非難する要素がありません。

ですから、心を閉ざさずに聞くことができます。

 

しかも、「○○で心配」「○○で安心」「○○でうれしい」などと言われると、その気持ちに共感を覚えるので、ますます素直な気持ちになれます。

 

この言い方は、主語である私がどう思っているかを伝えているので、「アイ(私)メッセージ」と呼ばれています。

 

最初の言い方は、「あなたは○○だ」と言っているので、「ユー(あなた)メッセージ」です。

 

ユーメッセージで言うと、つい相手を非難する言い方になりがちです。

それをアイメッセージに変えることで、非難の要素をなくせることが多いのです。

 

ただし、アイメッセージならなんでもよいというわけではありません。

例えば、「しっかりやってくれないから、お母さんはイヤになっちゃう」というのは、相手を非難する要素がたっぷり入っています。

 

これではアイメッセージにした意味がないわけで、これは偽りのアイメッセージと呼ばれています。

 

とにかく大事なのは、相手を非難する要素を入れないで伝えるということです。

これに気をつければ、相手は心を開いて聞いてくれます。

 

初出『聖教新聞』(2012年3月23日から連載)

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