「この頃お兄ちゃんが弟を泣かせて困る」というとき、たいていの親は「お兄ちゃんらしくしなきゃだめでしょ」とか「なんでそんなに意地悪なの?」などという言い方で叱ってしまいます。
でも、このような言い方は全くの逆効果です。
言われた方は「お母さんは弟の味方ばかりしている」と感じてしまいます。
また、「意地悪」という言葉をつかうと「どうせぼくは意地悪なお兄ちゃんだよ」という否定的な自己イメージを持たせることになってしまいます。
「兄弟仲をよくしたい」と思ったら、兄弟仲についてほめるところから始めることが大切です。
例えば、外出するときお兄ちゃんが弟の靴を出してくれたら、「ありがとう。お兄ちゃん優しいね」とほめます。
これならよい自己イメージが持てるようになります。
親が「ほめるところから始めよう」と意識していれば、機会はいくらでも見つかります。
意識していないとせっかくの機会を見逃してしまい、叱るところから始めることになります。
これは何事においても言えることで、日頃から叱ることの多い親は、ほめる機会を見逃しているのです。
そのことを自覚して、よい芽を見つけるよい眼を持ってください。
さて、この他にも、兄弟が仲よく写っている写真を飾っておくのもオススメです。
例えば、二人で一緒に遊んでいる、笑顔で肩を組んでいる、などの写真を目につくところに何枚か貼っておくといいでしょう。
人間は無意識のうちに情報を集めていて、さらに無意識のうちに意味づけているそうです。
つまり、こういう写真を見るともなく見ているうちに、子どもの心の中で「ぼくたち仲がいいんだ」「弟はかわいいな」「いい兄弟なんだ」という認識が育ってくるのです。
なんといっても証拠の写真があります。
写真が無言のメッセージを発し続けて、兄弟仲についてのよいイメージを持たせてくれます。
つまり、これは写真を使ってほめているのと同じことなのです。
初出『聖教新聞』(2012年3月23日から連載)
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