私は教師をしていたときから、「どうして親たちはもっと子どもをほめてあげないのだろう?」と不思議に思っていました。

その理由の1つは、親には子どもにやらせたいことがありすぎて、自分の価値観という色眼鏡を通してしか子どもの行動を見られなくなってしまうからです。
 

例えば、ある子はマンガを描くのが大好きで、それをホッチキスで留めて本の形にすることに熱中していました。

       

私は大いにそれをほめてあげましたが、親にはほめられるどころか叱られるだけだったようです。


この子が漢字の書き取りに熱中していたなら親も喜んでほめたはずです。

それは親の価値観に合っているからです。


こういう例は実にたくさんあります。

なぜなら、だいたいにおいて子どもが熱中するものは親にとって価値のないものだからです。


でも、これは本当にもったいないことです。

せっかくのほめるチャンスをみすみす逃し、子どもの伸びる芽を摘み取っているからです。


子どもを伸ばすにはほめるのが一番です。

子どもは一つのことでほめられると自信がついて、ほかのことでもがんばるエネルギーがわいてくるものです。


また、ほめられることで、自分が親に大切にされているという実感を持つことができます。

それで、お父さん・お母さんがますます大好きになりますし、心が満たされるので兄弟や友達にも自然に優しくなれます。


さらに、ほめるだけでなく、好きなことがもっと深められるように応援してあげてほしいと思います。

昆虫が好きな子なら、図鑑を買うとか昆虫博物館に連れて行くなどです。


子どもは、親の応援がないと他の子よりちょっと得意で終わってしまいます。

でも、親が応援してあげれば誰よりも得意になれます。

これは本当に大きな自信になります。


また、好きなことに熱中して頭を使っているときに、思考力、理解力、記憶力、創造力、集中力などがつきます。

つまり、”勉強”に必要な諸能力が自然に養われるのです。


初出『聖教新聞』(2012年3月23日から連載)

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