大人が子どもによく掛ける言葉の一つとして「がんばれ」があります。

もちろん、子ども本人がやる気に溢れていて「さあ、がんばるぞ」と思っているときには、この言葉は大きな励みになります。

でも、そうでないときは、「まだがんばりが足りない。もっとがんばらなきゃダメだ」と言われたように感じてしまうことがあります。

すると、不愉快になり、素直に受け入れられなくなります。

場合によっては「うるさいな。わかってるよ!」などと反抗的になってしまうこともあります。

こちらは善意で言うのですが、相手の精神状態によってはこういうこともあり得るわけです。
つまり、「がんばれ」はリスクのある言葉なのです。

そこで、私は「がんばってるね」という言葉をお薦めしたいと思います。
なぜなら、「がんばってるね」と言われると、誰でもみんなうれしい気持ちになるからです。

実際、子どもも大人もみんな自分なりに頑張っています。
決して誰一人としてサボってなどいないのです。

もって生まれたものもありますし、環境の違いもあります。

他人から見ると頑張ってるように見えない人でも、それぞれの条件の中で、みんな一生懸命がんばっているのです。
ですから、心から「がんばってるね」と言ってあげて欲しいと思います。

中には、「がんばってもいない子にそんなことを言うと、よけいがんばらなくなるのではないか」と考える人もいるかも知れません。
でも、決してそんなことはありません。

「がんばってるね」と言われると、今の自分を肯定できるようになり、それによって「もっとできるはずだ。もっとがんばってみたい」というエネルギーが自然にわいてくるのです。

逆に、今の自分を否定されると、がんばるエネルギーも持てなくなってしまうのです。

初出『Smile』(学研エデュケーショナル)

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