なかなか勉強に取りかかれない子がたくさんいます。
ある男の子も、宿題を目の前にしながらいつまでも取りかかれない子でした。

1時間でも2時間でもグズグズしていて、そのあげくお母さんに叱られてやっとやり始めるという毎日でした。

ある日、お母さんは「こんなことで、かわいいわが子を叱りたくない」と思い、ちょっとした工夫をしてみました。
勉強を始めるとき、紙に簡単な手作り問題を書いて、やらせてみたのです。

例えば、次のような単純な計算問題を5つです。
5+3 7+5 9-6 15-8  8×5

「これならすぐできる」というわけで、子どもがやり始めました。
もちろん1分もかからずやり終わりました。
それで、お母さんはほめながら1つずつ花丸をつけて、大きな字で100点と書きました。

そして、「ついでに、宿題もやっちゃおう」と言ったら、なんとすぐにやり始めたそうです。
それからは、毎日このようなウォーミングアップの問題をやらせているそうです。

この方法はひとえにお母さんの愛情の賜物ですが、実は脳科学的にも非常に理にかなったやり方のようです。

脳科学によると、脳の中の線条体という部位がやる気を司っているそうです。
つまり、やる気のスイッチです。
そして、この線条体を活性化するために大切なのが、成功体験で達成感を味わうことだそうです。

つまり、いきなり高いハードルに挑むのではなく、達成感が持てる小さな成功体験をすることでやる気スイッチを入れることができるのです。
というわけで、その子の得意な分野で、短時間でさっとできるものを用意してあげるといいと思います。

オリジナル
初出『Smile1』(学研エデュケーショナル)

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