子どもが「疲れた。勉強やりたくない」などと言ったとき、親も先生もすぐ否定的に叱ってしまいます。

例えば、「何言ってんの。ちゃんとやらなきゃダメでしょ」というようにです。

でも、これでやる気が出たら奇跡というものです。
その反対に、ますますやる気がなくなってしまうのがオチです。

こういうときは、まず子どもの気持ちに共感してあげることが大切です。
「忙しいと疲れちゃうよね」とか「あなたも大変だよね」というようにです。

すると、子どもは自分の大変さがわかってもらえたと感じて気持ちが安らかになります。
そして、わかってくれた相手に対する信頼の気持ちが生まれて、心を開いてくれます。

そうなったところで、頃合いを見計らって、「じゃあ、一緒にちょっとだけやってみようか」とか「手伝ってあげるから半分だけやっておこう」などと誘いかけてみます。

「一緒に」「手伝ってあげる」「ちょっとだけ」「半分だけ」などの言葉が、子どもの負担感をかなり軽くしてくれます。
つまり、取りかかりのハードルを下げてくれるのです。

そして、実際にやり始めてみれば、だんだんエンジンがかかってくるものです。
そうなれば、手伝わなくても自分でやるようになります。

大切なのは、頭ごなしに否定的に叱るのではなく、まずは共感してあげて、そして最初の取りかかりのハードルを下げてあげることです。

でも、子ども相手にこのような対応ができる親や先生は少ないのです。
相手が大人ならできでも、子どもが相手だととたんにできなくなる人もいます。
それは、子どもを侮ってなめているからです。

子どもも人格を持つ一人の人間であり、決して侮れない存在です。
そのことをはっきり認識し、常に心を砕いて丁寧に接していくことが大切です。

初出『Smile1』(学研エデュケーショナル)

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