子育て中の親には、いろいろな人がいろいろなことを言ってくると思います。
「○年生では□□ができなければ」とか「○才では□□をやめなければ」などという一般論的な話も耳に入ってくるでしょう。

もちろんそういう話に一応耳を傾けることも大切です。
一般的な成長のペースというものを、まったく気にしなくていいということではありません。
それとかけ離れている場合は、専門家の診断や治療を謙虚に受ける方が子どものためになることも多いのです。

でも、それと同じくらい、子ども自身の声なき声に耳を傾けることも大切です。
なぜなら、どの子にもその子固有の成長ペースというものが絶対的にあるからです。
それは先天的なものです。
一般的な成長に比べて遅いからといって、無理にペースを上げさせるのは百害あって一利なしです。

身長の成長ペースが遅いからと言って、頭と足を引っ張って無理矢理伸ばす親はいません。
でも、他の面では、それに該当することをやっている親はけっこういます。
子どもが泣いてすがってまだ抱っこをしてもらいたいのに抱き癖が付くからといってやめるとか、恥ずかしがり屋で人前で話すのが苦痛なのに無理矢理挨拶をさせるとか・・・

そうすると、その子の発達課題を十分にこなさないうちに次に進ませることになります。
やり残したことは、後で形を変えて出てくるのです。

ときにはそっと背中を押してやることが必要なときもありますが、無理矢理はやめるべきです。
専門家に診断してもらって治療を受ける場合も、無理矢理ペースを上げるような指導をする専門家はいません。

親としては、わが子を同年代の子と比べたりいろいろな情報を目にしたりして、どうしても焦る気持ちが出てくるものです。
でも、そこで焦りに任せてしまうのではなく、わが子のペースに合わせて成長をじっくり見守るという気持ちが大切です。

そして、時期が来るのを待つのです。
その子の花が開く時期を待つという気持ちが、親にとって非常に重要です。
でも、これは、多くの親に最も欠けているものでもあるのです。

それと、親子の人間関係をよくしながら待つことが大事です。
親子の人間関係いい場合、その時期が来たときに子どもは親の支援を喜んで受け入れてくれます。
叱りすぎたり無理矢理しつけたりした結果、親子の人間関係がよくない場合、せっかくその時期が来ても子どもは親の支援を喜んで受け入れてくれません。

ある子は、幼稚園のとき、毎朝お迎えバスを待つ間ずっと大泣きしていました。
3年間その調子でしたが、小学校の1年生になった途端、まったく泣かなくなりました。
そればかりか、朝も自分で起きてどんどん身支度して家を出るようになりました。
親も周りの人たちもみんな驚きました。

ある子は、とてもめんどうくさがりやで、やるべきことはいつも後回しにする子でした。宿題も親に言われないとやらないし、やったとしても読めないような字でちょこちょこっとやるだけでした。
小中学校を通してずっとそうでした。
ところが高校2年生になったころから、人が変わったように勉強をし始めました。
その理由は、将来やりたい仕事が見つかって、そのために行きたい大学が決まったからでした。

何事にもやる気がないと思われていたのに、社会人になったら急に生き生き輝きだした人もいます。
社会人になって10年目に、突如整理整頓に目覚めた人もいます。

こういう例はいくらでもあります。
これら全てが証明してくれているのが、「三者三様、十人十色、百人百様、億人億様」という事実です。
「三者三様、十人十色、百人百様、億人億様」と書いて、目に付くところに貼っておくといいと思います。

初出「エデュメリー」(バンタンデザイン研究所)2006年~2007年

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