太陽がギラギラ照りつけて、ただ今、子どもたちは夏休みの真っ最中です。
お母さんたちの中には、イライラが募ってきている人も多いのではないかと想像しています。

つい先日も、私が近所の新興住宅街を歩いていたら、こんな声が聞こえてきました。
「○○!どうして何度も同じことを言われるの!」
「ごめんなさい。わあ~ん・・・」
「何度言われたら分かるの!」
夕餉のカレーがのどかににおってくる同じ家から、お母さんの怒りの大声も聞こえてくるのでした。

せっかくのカレーが台無しだなと、ひとごとながら悲しい気持ちになりました。
あちらこちらで、毎日こういうやりとりが無数にあるのでしょうね。
特に夏休みは多くなるのではないかと心配です。

そんな折り、知り合いの編集者さんから、とてもタイムリーで興味深いメールをいただきました。
この方も、子育て中のお母さんです。

以下引用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いま、夏休みのプールのために毎日検温させていて大発見したのですが、朝、行動がのろのろしてしまうのは、低体温の子ですね。
どおりで食も進まないし、起きてからが長いわけです。

今まで「睡眠時間はたっぷり、血圧もふつう、同じ兄弟なのに・・・」と不思議に思っていましたが、ようやく解決した気がします。
これで怒らずに(?)すみます。

我が家だけかもしれないのですが、けっこうあたっているような・・・。
どうですか?

以上引用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こういうことは大いにあり得ます。
低体温の子ばかりでなく、低血圧の子もこのような傾向があるといわれています。
こういう子たちは朝に弱いので、それが登校渋りや不登校に結びつくことすらあるのです。

私は、この人が「我が子が低体温で、それが原因で朝の行動がのろのろしてしまうのだ」と気がついたことは、とてもすばらしいことだと思います。

今までも、そういう話を一般的な情報として耳にしたことはあったはずです。
でも、実際に我が子の体温を毎日測って、その子が朝のろのろする原因がそこにあると気がついたことは、次元が違うくらい大きなことです。
本人が「大発見」と表現している気持ちがよく分かります。

なんといっても、我が子について今まで分からなかったことが初めて分かったのですから、親にとってとても大きなことです。
それに、本人も言っているように、この大発見によって怒らずにすむのも大きいことです。

原因がそこにあると分かれば、むやみに怒っても仕方がありません。
「まあ、しょうがないかな・・・」という気持ちにもなれます。
これだけでも、親子双方にとって大きな前進です。

でも、それで終わってしまってはもったいないので、さらに一歩進めるといいと思います。
それは、どうしたら低体温を改善していくことができるか調べて、それを実行することです。

低体温は自律神経の働きに問題があるので、次のような改善が必要とされています。
・冷暖房を切って暑さ寒さを体感する生活にする
・毎日体を使った遊びや運動をする
・規則正しい食事をする

これらのことに気をつけて生活すれば、低体温が改善され、毎朝ののろのろも改善されるはずです。
完全にというのはなかなか難しいかもしれませんが、よりよい方向に行くのは間違いありません。
こうなれば、親子双方にとって、とてつもなく大きな前進です。

ここまで、1つのメールをきっかけに低体温について見てきましたが、これは子育てのいろいろな場面で当てはまることだと思います。
つまり、子どものいろいろな問題には必ず原因があるということです。
その原因を理解して、具体的な改善をすることがとても大切なのです。

でも、多くの親たちは、このこと自体に気がついていません。
多くの親たちは、こういう発想そのものがないように見受けられます。
子どもの問題を目にして、その現象だけを捉えて、むやみに叱っているだけの人が多いのです。
会社の仕事ではバリバリあの手この手を繰り出して問題解決しているのに、事が子どものことになると途端に無策になってしまう人も多いのです。

具体的な改善策を考えないで、口で言うだけの親がなんと多いことでしょう。
「○○!どうして何度も同じことを言われるの!」とか「何度言われたら分かるの!」などと言う前に、ぜひ親の方がやるべき事をやって欲しいと心から思います。

子どもに口だけで何度同じことを言ってもムダなのです。
とても説得力のある話ならそれなりの効果はありますが、だいたいの場合はただのお小言です。
そういうものには、何一つ効果がないばかりか、かえって逆効果です。
叱られることが多いと、どうしても親に愛されているという実感が持てなくなってしまうからです。

子どもの問題の現象面だけを捉えて、口で言っているだけでは、決して問題は解決されません。
子どもには、どうしようもないのです。
子どもが心で決意するだけでは、どうしようもない場合が多いのです。

その現象の背後にある原因を理解して、具体的な改善をしていくことが絶対に必要なのです。
そして、それができるのは、親だけなのです。

初出「エデュメリー」(バンタンデザイン研究所)2006年~2007年

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