現在、日本も含めた世界の各国で貧富の差が広がり、豊かな者はますます豊かになり貧しい者はますます貧しくなるという状況が見られます。

グローバル時代の今、子どもに本当に必要な12の力

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(本連載を1冊にまとめました)

それに異議を唱えるデモを見て、ウォール街のビジネスマンが「デモなどしている人たちは怠け者にすぎない。そんな暇があったら仕事を探したりスキルアップのための勉強をしたりすればいい」と話していました。

個人の努力不足で片づけられない状況が生じていることを、全く認識できていないようでした。

弱肉強食の論理で自分の金儲けばかりが優先され、他者の困難な状況を思いやる倫理的な能力が欠如していると言わざるを得ません。

倫理力の欠如で思い出されるのは、アジア通貨危機を引き起こしたヘッジファンドの暴挙です。
ヘッジファンドは狙った発展途上国の通貨を空売りして大儲けをし、狙われた国は経済が崩壊し人々はさらなる貧困に追いやられました。

まさに儲けるためなら何でもするという姿勢で、その陰でどれだけ多くの人が苦しむかを考える能力が欠如しています。

日本でも、クラッチ系統の欠陥を認識しながらリコールをせず、多数の人身事故を秘密裏に処理していた自動車会社がありました。

また、ある会社はガス瞬間湯沸かし器の安全装置の不具合を把握しながら放置し、多数の死亡者を出しました。

これらの行為にはコンプライアンスの問題はもちろん、それ以前に人間としての倫理上の問題があります。
また、それが組織的に行われていたということにはさらに大きな問題があります。

私は、これからのグローバル社会がよりよい方向に発展していくためには、各分野で活躍する人たちの高い倫理力が求められると思います。

自分のためであると同時に他者や社会全体のためにもなるような生き方・仕事をしていくことが大切なのです。

そのためには、子どものころから他者の困難な状況を想像する力やそれを思いやる気持ちを育てていく必要があります。
例えばボランティア活動はとてもいい経験になります。

ある男の子はお父さんと一緒に福祉旅行会に参加し、同年代の子の車椅子を押したり食事の介助をしたりしました。

後日その子が書いた作文によると、彼は回転寿司の店で手が動かせない子の横に座り、箸で寿司を口まで運び、こぼれないように口の中に入れてあげました。

おいしく食べらるように醤油の量に気を配り、お茶が熱すぎないように気をつけ、口の周りに醤油がつけばそれを拭いてあげました。

「お寿司は本当に久しぶり」と言いながらうれしそうに食べるその子の横で、彼もまたうれしい気持ちでいっぱいでした。

こういった実体験が子どもの心に及ぼす影響には絶大なるものがあります。

また、特別な体験でなくても日々の生活の中で人を思いやる機会を持つことも大切です。

学校でも、遊び、掃除、給食の仕度、行事などにおける共同作業や授業における子ども同士の教え合いがいい機会になっています。

テストの点で競わせることを優先していると、「勉強とは人に勝つためにするもの。勝てない人は努力が足りない怠け者にすぎない」という価値観の刷り込みをしてしまう可能性があります。

子どものころの刷り込みは、人生に大きな影響を与えるので気をつけなければなりません。

さらに、映像や読書なども効果的です。

あるテレビ番組では、日本人の若い医師が東南アジアで献身的に仕事をしている姿を紹介していました。

また、ある小学生新聞には、東日本大震災の被災地でボランティア活動に励む大学生たちの記事が出ていました。

人の喜びを自分の喜びとする若者たちのさわやかな笑顔がとても印象的でした。

初出『子ども英語ジャーナル』(アルク)2012年2月号

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